佰伍拾参. 報告と記憶 ページ13
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【鴎外 視点】
鴎「何か分かったことはあるかね?」
中「…高柳海の生まれた高柳家は、首領ならご存知かと思いますが以前はポートマフィアに多額の資金を提供していました。
少年は家族とともに十二年前に亡くなっています」
中原くんが、手帳を見ながらそう告げる。
現在、彼の報告を聞いているところだ。
中「奇妙なことに、彼らが亡くなったその日に高柳の資産がほとんど消えていました。
…何処かへ流れたのが妥当ですが、ポートマフィアではありませんでした」
鴎「その流出先は分からない、か」
中「海外の銀行に移されたようですが、その先は…」
鴎「成程、ありがとう」
…その先は、さすがに難しいか。
中「…何故、今になってこの少年を?」
鴎「そうだねえ…この子に会いたいから、かな」
中「…はあ、」
そっと目を伏せれば、脳裏に蘇る記憶。
__『…ありがとう、お兄さん』
あの日、パーティー会場で見た少年は、虚ろな表情だった。
それでいて、美しく気高い白薔薇にも似たその輝きに、一瞬にして目を奪われた。
あの少年と会ったのは数回だ。
滅多にパーティーなどには参加していなかったが、年に一度、彼の父親の誕生会にだけは彼は出席していた。
見る度に、彼は美しくなっていった。
…それと同時に、彼の家族とは違う容貌になっていった。
だからこそ、あの時の少年は虚ろな目をしていたのだろう。
__『僕に、貴方の心臓もくださいますか?』
『高柳 海』と『神楽 A』が同一人物なら、全ての辻褄が合う。
…彼は、光と闇の狭間に生きるべき人間だ。
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魔夜美(プロフ) - 更新頑張ってください (2017年5月3日 16時) (レス) id: a15b068210 (このIDを非表示/違反報告)
猫 - すごく面白いです!更新頑張ってください! (2017年3月27日 0時) (レス) id: 6d1c031c5c (このIDを非表示/違反報告)
栗医務 - やばみ (2017年2月27日 3時) (レス) id: 8c1f057850 (このIDを非表示/違反報告)
シェエラ(プロフ) - いつも楽しく読んでます^^ (2017年2月6日 18時) (レス) id: 77f45bf4f9 (このIDを非表示/違反報告)
ウェン - いつも楽しみにしてます!!これからも無理せず頑張ってください (2017年2月2日 18時) (レス) id: 8f2a77e445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2017年2月2日 13時