【文スト】陸 全身黒の、美しいひと。【男主】

佰伍拾弐. 忠告のような ページ12

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【中也 視点】









中「…で、何で手前が此処にいるんだ？」

太「いやー、Aくんに連絡したって聞いてねえ」







にこにこと嫌な笑顔を浮かべているのは旅浪者(バカボンド)だ。


…神楽と連絡を取ったはずなのだが、約束の場に現れたのは何故か此奴だった。







中「…一体何しにしやがった」

太「何か調べてるって聞いてね。森さんに頼まれてるの？」

中「手前には関係ねェだろ」


太「へえ、当たりか」







奴はくすくす笑って壁にもたれかかる。


…ああ、腹が立つ。







中「…手前、本当に何しにきやがったんだ？」

太「んー、さあね」

中「喧嘩売ってんのか？」

太「まさか。そんなに暇ではないからね」








ふいに、ナイフが飛んでくる。

どうにか避けると、…太宰の顔は真剣そのもので。








太「…君、その調査はもうやめておいた方がいい」

中「っ手前、何か知ってるのか」

太「何も知らないよ。…だが、それ以上はお勧めしないね」








何故、此奴が俺の調査のことを知っているんだ？

…で、何故それを阻む？






中「…それは脅しか？」

太「昔のよしみでの忠告さ」





奴はふふ、と笑う。

…その薄気味悪さは何処から来るのか教えて欲しいくらいだ。






太「…どうせ調べてるのは小さな男の子のことだろう？
今更調べたところで出てくる筈が無いことくらい中也だって分かってるはずだ」

中「……手前、何故それを」


太「さてと、そろそろ時間だし帰らなきゃ」

中「っおい、まだ話が…」




太「じゃあね中也、二度と会わないことを祈ってるよ」






くすくす笑って、奴は元来た道を帰って行く。

…彼奴は『高柳 海』の、何かを知っているのか？




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