【文スト】伍 全身黒の、美しいひと。【男主】

佰参拾陸. まだ ページ27

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【敦 視点】









乱「…Aくんが太宰と外出しただって？！」


国「Aさんが自分なら大丈夫だと言って、太宰を連れ出しました」

乱「っ、まずいな、これは……」







乱歩さんが、勢いよく立ち上がる。




…これは、まさか緊急事態か？

でも、Aさんはいろんな異能を使えるし、もし万が一敵と遭遇しても大丈夫なんじゃ…？






谷「でも乱歩さん、Aさんなら大丈夫って…」

乱「Aの方はね。でも一番の問題は太宰だ」

敦「…太宰さんが？」







…何故、ここで太宰さんの話になるんだろう。







乱「異能力者が殺されてるんだよ。奴らはいずれ、異能力無効化の太宰に飛びつくはずだ。
だから太宰だけは外出させるなとAと結論を出したのに…！」


与「じゃあ、もしかしたら…」

乱「…最悪のケースも考えられる」







乱歩さんは軽く溜息をついて、眼鏡をかける。

彼の異能を使えば、Aさんたちの居場所もわかるはず。






乱「…異能力、【超推理】」





与「…場所は分かったかい」

乱「此処から近い路地だ。今ならまだ間に合う」



国「今すぐ向かいます」

谷「じゃあ僕もついていきます、【細雪】で隠れた方が…！」







バタバタと、国木田さんと谷崎さんが出て行く。




乱歩さんは、ドサリとソファーに座る。

…その表情は、今まで見たことが無いくらい、焦っているように見える。






与「…乱歩さん、他に何か見えたんじゃないのかい」


乱「…いや、まだ何も起こってない。まだね………」




まだ、という言い方が妙に頭に引っかかったのは、気のせいだと信じたかった。



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