【文スト】伍 全身黒の、美しいひと。【男主】

佰参拾壱. リスト ページ22

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【太宰 視点】









「被害者が皆国内の異能力者であることを考慮しても、そのリストが盗まれたとしか考えられない」


中「…それ、本当か」

「可能性はかなり高いね。…もっとも、特務課の皆さんは認めなかったけど」







Aくんは書類を広げながら、困ったように微笑む。


もう既に特務課とは連絡を取ったというわけか。








「リストには特務課の人間は勿論、探偵社やポートマフィアの人間の名前も載っているはず。
…現場は国内各所で不規則だけど、我々に近付くのも、」

中「時間の問題、というわけか」

「その通り。僕達の命は、いつ奪われてもおかしくない状況かと」






いつになく真剣な表情をする彼。


…三社の異能力戦争以来、また更に痩せたのではないだろうか。






「今のところ横浜での被害者はまだ出ていないけど、外出は気を付けた方がいいかと」


太「Aくんと谷崎くんなら外出は出来るんじゃないかな？」

「だから外出の際はいつもどちらかと一緒でしょ？でも太宰くんは、この機会に溜まりに溜まった仕事を処理してね」




太「ええ〜…」


中「…手前、仕事溜め込んでんのか？」

太「何その目は！」








Aくんは少しだけ笑って、広げていた書類をまとめる。







「さて、我々とポートマフィアとが顔を合わせて会議を行うのは困難かと思われますので、テレビ電話を使用するのは如何です？」

中「賛成だ。用意は各々で出来るな」



「ええ、ではそれで。何か必要なことがあればお呼びください。なるべくすぐに伺いますので」






そう言って人の良い微笑みを浮かべ、彼は1枚名刺を取り出す。


Aは裏に電話番号をさらさらと書いて、それを中也の前にそっと置いた。





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