【文スト】伍 全身黒の、美しいひと。【男主】

佰参拾. 不仲な二人 ページ21

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太「うわ、最悪」

中「…それはこっちの台詞だ、糞太宰」






先程、扉を開けて僕を出迎えた笑顔は何処へやら。

今の太宰くんは心底嫌そうな顔をして、隣にいる人物を一切見ようともしていない。







「太宰くん、相手は客人なのだからちゃんとした応対を」


太「そうは言っても相手はちびっこマフィアだよ？」

中「あぁん？！何だと手前！！」


「太宰くん」

太「やれやれ、分かったよ」






太宰くんは盛大に溜息をついて、ソファーに埋もれる。






「…さて、早速ですが本題に入りましょうか。
現在、既に国内で十三名の被害者が出ていますが…」

中「…全員が異能力者、だな」






こくんと頷き、書類を広げる。


…取り急ぎまとめたものだが、時間が無かったので仕方ない。






「そして全員が胸に銃弾を受けています。ちなみに凶器は拳銃ではなくライフルかと」


太「Aくん、銃の種類は特定できそう？」

「確証は無いけど、ボルトアクション式のスコープ付き…まあ、L96A1辺りだろうね」






目撃証言から判断しても、ライフルで合ってるだろう。

…ただ、場所が読みにくいのが難点か。






太「流石だね。…問題なのは、何故異能力者ばかりが狙われているのかだけど」

「恐らく、リストだ」

中「リスト？」






僕は頷き、声を抑える。






「…国内にいる異能力保持者の名前が書かれたリスト、だよ」

中「そんなものが存在するのか？」

「異能特務課の最大の目的は、国内の異能力者を統括すること。
…当然、その為にはリストアップしておく必要がある」



太「成程ね」






太宰くんが、納得したように微笑む。

…事態は、笑っている場合でもないのだけれど。



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