佰拾弐. 心配事 ページ3
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【安吾 視点】
ハ「…一人、あの中に青年が残っている」
安「それは、ギルドのメンバーの誰かですか」
ハ「元、だがな」
彼は、まっすぐに白鯨を見つめている。
安「ということは、今は一般人ですか?」
ハ「ああ。武装探偵社の社員だ」
安「…今、何と」
武装探偵社ということは、…現在の太宰くんの勤務先だ。
ハ「彼は自らあのモビーディックに残った」
安「…ではまさか、その人は」
ハ「分からない、だが彼はモビーディックと共に沈んでいいような人間ではない。彼は、」
安「…その人は、確実にあの中にいるのですね」
ハ「ああ、彼は頑固な人間だからな」
安「その社員の名前を教えていただけませんか」
ハ「…神楽Aという男だ」
神楽、A。
…確か、ギルドで団長補佐をしていた男だ。
複写の異能力者で、何度か会ったことがある。
恐ろしいほどに美しく、常に穏やかな笑みを浮かべているあの男。
一目見て気がついた。
…彼は無意識下において、他人を魅了せずしては生きていけない人間なのだと。
ハ「…今から捜索をすれば、彼を助けることは出来るかね」
安「確認をとってみます。…Mr.ハーマン、ひとつ伺ってもよろしいですか」
ハ「ああ、何なりと」
安「…神楽Aは、どんな人間ですか」
何故、そんなことを聞いたのかは分からない。
…だが、何故か気になってしまった。
ハ「心まで美しい少年だったよ。その見た目以上にね」
安「…そうですか、」
ハ「彼は高潔な人間だ。…必ず、彼を見つけ出してほしい」
二代前のギルドの長にまで、このように言わしめる彼。
そんな人間が、みすみすあんな場所で命を落とすだろうか。
…そんな筈が無い。
彼は、…神楽Aはきっと、生きている。
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シェエラ(プロフ) - いつも楽しく、続きを楽しみに読んでます。ありがとうございます。 (2017年1月31日 20時) (レス) id: 1ac12c7cb6 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - すごい、面白いです!!!!続きが気になって仕方ありません!!!更新頑張ってください!! (2017年1月30日 1時) (レス) id: 6d1c031c5c (このIDを非表示/違反報告)
春海。・:+°(プロフ) - シェエラさん» 主くんが子どもみたいに見えるように意識しました…!笑 そう感じていただけたなら幸いです!(意味深) (2017年1月5日 13時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)
シェエラ(プロフ) - 主がかわいく思えるます。なんとなくですが、ちょこんと座ってる感じがして。エドガーさんの小説を読んでる主が本当の主の姿なのかなぁって思いました。 (2017年1月5日 8時) (レス) id: e4ad18c1a6 (このIDを非表示/違反報告)
春海。・:+°(プロフ) - SEAN◎さん» う、美しい…?!なんと勿体ないお言葉……ありがとうございます…!エドガーさんが愛おしく思える今日この頃です…笑 更新がんばりますー! (2017年1月4日 23時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年12月28日 19時