佰弐拾伍. 酒の席 ページ16
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「こんばんは。隣、よろしいですか?」
安「…どうぞ」
カウンターに腰掛け、僕は酒を頼む。
「お久し振りですね、坂口さん」
安「…白鯨の中に残ったと伺いましたが」
「そのように言いましたからね」
彼、坂口安吾は一切此方を見ない。
…否、見ようとしていない。
「ハーマン・メルヴィル氏を捕縛したそうですね」
安「ええ。捜査の協力を」
「でも、貴方が最も求めている情報は得られなかったでしょう?」
安「その通りです。貴方が口止めしているのですね」
「口止めなど、人聞きが悪いじゃありませんか。ただの約束ですよ」
カラン、とグラスの中で氷が落ちる。
安「貴方がギルドに参加した契機は、現団長に家族を奪われたからだそうですね」
「…表現に多少誤差がありますが、内容はそれで合ってますよ」
異能特務課には、何度か仕事の用件で訪れたことがある。
だから一応この男とも面識があるわけだが、向こうは僕のことが気に入らないらしい。
そりゃそうか。
…相手にしてみれば、僕は何処の馬の骨かも分からない人間なのだから。
安「問題なのは、貴方が何者なのかです。
…探偵社入社以降、貴方は社内トップの稼ぎ頭となっているようですが」
「たった一言、仰ればいいじゃありませんか。『お前は誰だ?』とね」
安「その言葉を口にしたところで、貴方は何も答えないのでしょう」
「名前に意味などありませんから」
そこまで言って、僕は酒を呷る。
グラスを手にしたまま、彼の方に顔を向けて微笑みかける。
「薔薇の花と同じですよ。名前を変えたところでその香りは変わらない」
安「…貴方は
「生憎ですが、僕は
そう微笑むと、彼は困ったように溜息をついた。
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シェエラ(プロフ) - いつも楽しく、続きを楽しみに読んでます。ありがとうございます。 (2017年1月31日 20時) (レス) id: 1ac12c7cb6 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - すごい、面白いです!!!!続きが気になって仕方ありません!!!更新頑張ってください!! (2017年1月30日 1時) (レス) id: 6d1c031c5c (このIDを非表示/違反報告)
春海。・:+°(プロフ) - シェエラさん» 主くんが子どもみたいに見えるように意識しました…!笑 そう感じていただけたなら幸いです!(意味深) (2017年1月5日 13時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)
シェエラ(プロフ) - 主がかわいく思えるます。なんとなくですが、ちょこんと座ってる感じがして。エドガーさんの小説を読んでる主が本当の主の姿なのかなぁって思いました。 (2017年1月5日 8時) (レス) id: e4ad18c1a6 (このIDを非表示/違反報告)
春海。・:+°(プロフ) - SEAN◎さん» う、美しい…?!なんと勿体ないお言葉……ありがとうございます…!エドガーさんが愛おしく思える今日この頃です…笑 更新がんばりますー! (2017年1月4日 23時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年12月28日 19時