佰弐拾壱. 首飾り ページ12
.
【鴎外 視点】
鴎「今日は本当に正面から来たようだね」
「…ええ、折角ですので」
目の前に立つ男。
それは、…探偵社の彼だ。
鴎「それで、今日はどういった用件で?」
「此度の異能力戦争における御協力の礼を申し上げようと参りました」
鴎「…成程」
そんな彼の格好は、全身黒ではあるが、正装だ。
スラリとした細い体躯によく似合っている。
だが彼の右目には、眼帯はついていない。
「…ポートマフィアの協力無くして、横浜の街を守ることは出来なかったでしょう。感謝致します」
鴎「君、元ギルドの人間だそうだね。それも、団長の補佐を」
「…太宰くんが喋りましたか」
鴎「それを聞いて私は納得したよ。…君が隠す狂気が、何故私と同じものなのかがね」
私は立ち上がり、彼に近づく。
ふと、彼の首元に首飾りが光っているのに気がつく。
…シンプルながら、小ぶりのダイヤモンドがついた、洒落た銀の首飾り。
鴎「……その、首飾りは」
「首飾り?…ああ、もう随分と昔に人からいただいたものです」
…そのネックレスには見覚えがある、
だが、何故彼が身につけているのだろうか。
「どうかなさいましたか?」
鴎「それを、どこで?」
「…幼い頃に、何かのパーティーでです。もう十五年は昔のことですし、くださった方の顔も思い出せないのですが」
鴎「その首飾り、見せてもらえるかね」
「?ええ、構いませんが」
彼は身につけていた首飾りを外し、私の手にのせる。
間違いない。これは十五年前に、とある少年に私が贈ったものだ。
…だが彼は、いや、まさか。
そんな筈は無い。
その少年は、
鴎「…その首飾りを渡したのは、男だったかい」
「ええ、確かそうですけど…」
鴎「…それを受け取ったのは、バルコニーではなかったかな」
「そうです、でも何故それを…?」
…間違いない。
私があの時この首飾りを渡したのは、…この青年だ。
.
794人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シェエラ(プロフ) - いつも楽しく、続きを楽しみに読んでます。ありがとうございます。 (2017年1月31日 20時) (レス) id: 1ac12c7cb6 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - すごい、面白いです!!!!続きが気になって仕方ありません!!!更新頑張ってください!! (2017年1月30日 1時) (レス) id: 6d1c031c5c (このIDを非表示/違反報告)
春海。・:+°(プロフ) - シェエラさん» 主くんが子どもみたいに見えるように意識しました…!笑 そう感じていただけたなら幸いです!(意味深) (2017年1月5日 13時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)
シェエラ(プロフ) - 主がかわいく思えるます。なんとなくですが、ちょこんと座ってる感じがして。エドガーさんの小説を読んでる主が本当の主の姿なのかなぁって思いました。 (2017年1月5日 8時) (レス) id: e4ad18c1a6 (このIDを非表示/違反報告)
春海。・:+°(プロフ) - SEAN◎さん» う、美しい…?!なんと勿体ないお言葉……ありがとうございます…!エドガーさんが愛おしく思える今日この頃です…笑 更新がんばりますー! (2017年1月4日 23時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年12月28日 19時