佰弐拾. 小説と彼 ページ11
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【乱歩 視点】
乱「AくんAくん」
「あ、はい、何ですか?」
与謝野さんに絡まれていたAくんを引っ張り、奥の空間へと連れてゆく。
「急にどうしたんです、乱歩さん」
乱「Aくんに是非会わせたい人がいてねえ」
とん、と彼の背中を押す。
その空間でソファーに座っているのは、頭の上にアライグマを乗せた男。
「…会わせたい人って、誰のことですか……え、」
エド「あ、え、…A…であるか、?」
「エドガー、?如何して…」
Aは驚いたように彼に駆け寄る。
二人共、相当驚いているらしい。
エド「久しぶりであるな、A」
「エドガー、何故此処に…まさか、乱歩さんが?」
エド「頼まれていた小説を届けに来たのであるが…」
「小説?…読んでもいい?」
きらきらと目を輝かせ、小説を見つめるA。
…こんなに子どものようなAは、見たことがない。
エド「あ、ああ」
「嬉しいな、またエドガーの小説が読めるなんて」
エド「随分と見た目が変わったのであるな、A」
「…うん。五年も経てばね」
Aは彼の隣に座り、心底嬉しそうにその本を読み始める。
彼がここまで感情を出すのは珍しい。
よほどのことが無い限り、飄々としているというのに。
乱「おーい、Aくん」
「…」
乱「…まったく、子どもみたいだなあ」
よほど彼の小説が好きなのだろう。
…返事もしないほど、一生懸命に読んでいるくらいだ。
エド「こういう所は、昔から変わらないようであるな」
乱「へえ、そうなの」
エド「幼い頃から知っているが、毎度読んでいる間はこのような状態だ」
Aをそんな風にさせる彼がなんだか恨めしく、僕は溜息をついた。
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シェエラ(プロフ) - いつも楽しく、続きを楽しみに読んでます。ありがとうございます。 (2017年1月31日 20時) (レス) id: 1ac12c7cb6 (このIDを非表示/違反報告)
マカロン - すごい、面白いです!!!!続きが気になって仕方ありません!!!更新頑張ってください!! (2017年1月30日 1時) (レス) id: 6d1c031c5c (このIDを非表示/違反報告)
春海。・:+°(プロフ) - シェエラさん» 主くんが子どもみたいに見えるように意識しました…!笑 そう感じていただけたなら幸いです!(意味深) (2017年1月5日 13時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)
シェエラ(プロフ) - 主がかわいく思えるます。なんとなくですが、ちょこんと座ってる感じがして。エドガーさんの小説を読んでる主が本当の主の姿なのかなぁって思いました。 (2017年1月5日 8時) (レス) id: e4ad18c1a6 (このIDを非表示/違反報告)
春海。・:+°(プロフ) - SEAN◎さん» う、美しい…?!なんと勿体ないお言葉……ありがとうございます…!エドガーさんが愛おしく思える今日この頃です…笑 更新がんばりますー! (2017年1月4日 23時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年12月28日 19時