玖拾伍. 男の正体 ページ16
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【中也 視点】
中「…そういや、手前の所の社員が首領と話をしたそうじゃねえか」
太「ああ、らしいね」
中「で、相当其奴を気に入ったらしくてな」
太「…へえ、森さんが」
Qの周りの枝を切りながら、太宰はぼんやりと答える。
中「だが、其奴の情報が一切無い。…どういう絡繰だ?」
太「絡繰など無いよ。ちなみに彼について分かってるのは名前と異能力だけかい?」
中「…ああ、残念だがな」
此方に振り返る太宰の表情は、どこか虚ろだ。
…何故、そんな顔をするのだろうか。
太「彼はうちで一番の社員だよ。…ていうか君、会ったことあるじゃない」
中「はあ?会ったことなんて…」
太「5年前にポートマフィアの本拠地に単身で乗り込んできた人がいただろう?
ほら、中也ったらナイフを突きつけられてたじゃない」
…5年前。
ひとつだけ、思い当たる節がある。
中「まさか、…あの血染めの男か」
太「その通り。と言っても、今とは雰囲気ががらりと変わってるけどね」
あの時突如現れた、全身血染めの男。
…忘れもしない。
軽い身のこなしと、余裕のある態度。
あの美しさを忘れることなど、出来やしない。
中「…探偵社の人間だったってのか」
太「その頃はまだ違う。…彼は当時、ギルドにいた」
中「何だと」
太「ギルドの団長補佐様さ」
ギルドといえば、今まさに敵対中の組織だ。
この異能力戦争において、其奴がどれほど強い手札となるかは、目に見える。
中「成程な。道理で…」
太「何が?」
中「首領が『同じ目をしている』と言うのも納得がいく」
太「森さんがそんなことを?…へえ、相当気に入ったみたいだね」
太宰は嘲るように、静かに笑った。
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Rain(プロフ) - 突然すいません!この作品が、とても面白くて好きです!続編楽しみにしてます! (2016年12月27日 22時) (レス) id: 5eaacd6e9b (このIDを非表示/違反報告)
シェエラ(プロフ) - いつも楽しく読まさせていただいています。続編楽しみにしています。 (2016年12月27日 19時) (レス) id: e4ad18c1a6 (このIDを非表示/違反報告)
yukka_setuna_syota(プロフ) - 続編楽しみです!!!これからも頑張ってください!! (2016年12月27日 15時) (レス) id: 7eb3008315 (このIDを非表示/違反報告)
Chikaのほい(((プロフ) - おぉぉ!続きが凄く楽しみです!更新頑張ってください! (2016年12月27日 14時) (レス) id: f4f8a58d61 (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - 第二期、終わってしまいましたね…私も第二期のOP、ED共にお気に入りだったので、最終回の入れ方に鳥肌がたちました!深夜にTVの前で発狂してましたw第三期フラグが完全に立ちまくってたので、原作のストックがたまるのを今か今かと待ってます…更新頑張ってください! (2016年12月23日 0時) (レス) id: 1eec9432d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年12月3日 15時