【文スト】肆 全身黒の、美しいひと。【男主】

捌拾壱. 彼の力 ページ2

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【フィッツジェラルド 視点】









フィ「A、A！」



ルイ「フランシスさま、ご無事ですか？！」


フィ「ああ、私は大丈夫だ…君も無事か」

ルイ「私も大丈夫です、」






荒れた部屋。


…Aが、異能力を暴走させたのだ。





ルイ「フランシスさま、今のは…」

フィ「…感情が昂って、異能が暴走したんだ」






床に倒れているAの体をそっと抱き寄せる。



…顔色が随分と悪い。

脈はあるから、気を失っているだけだろう。





フィ「とりあえず、この部屋を整えておいてくれ。
他の人間にも手伝わせるといい。私はAを部屋に」

ルイ「分かりました」





そっと彼の体を抱え、開くようになった扉を開ける。



相変わらず、体重はかなり軽い。






…先程、Aが使った異能。

今まで見たことのないものもあった。



やはり、Aの実力ははかり知れない。





マーク「…どうかしたんですか」

フィ「異能が暴走してな。…それと、病気を患っているらしい」

マーク「…それって、酷い咳のことですか」

フィ「君、知っていたのか」


マーク「…いいえ、知らないです」






彼が、ふっと目を逸らす。

…知っていたとしても、きっとAに口止めされているのだろう。





フィ「そうか。部屋が荒れてしまったので片付けておいてくれるか」

マーク「了解」






腕の中でぐったりしているAの頬を撫でる。


…あとで殴られても文句は言えないな。


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