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伍拾肆. 目に映るもの ページ5

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コンコン、とドアを叩く音。


僕は鍵を締めていたのを思い出し、そっとドアを開ける。





「…ああ、締めてたの忘れてた。ごめんね」


太「お話はできた?」

「お陰様で。」

太「それはよかった。…おや、気絶させたのかい?」

「人聞き悪いなあ。眠っててもらってるだけだよ」






僕は机に軽く腰掛け、伸びをする。





太「Aくん、最近煙草吸ってないでしょ」

「あー、よくわかったね」

太「最近あまり匂いがしないし、それに」

「…それに?」






ぴん、と指をさされ、僕は何となく手をあげる。


にやりと笑った太宰くんが、僕の頬をつつく。






太「少しばかり、御機嫌ナナメに見えるからね」

「…はは、社長に禁止されちゃってね。依存しない程度に留めていたつもりだったんだけど」






そんなに態度に出ちゃってたか。


僕はこっそりため息をついて、太宰くんを見つめる。




太「まあでも、これなら接吻はしやすいね。煙草の匂いも嫌いじゃないけど」


「怒るよ、太宰くん」

太「まあまあ、怒らずに。ところでAくん」


「なーに」




そっと目を閉じた瞬間に腕を掴まれ、距離が縮まる。

真剣な彼の顔が、間近で僕を見つめる。





太「ひとつ聞きたいことがあるんだけれど」

「…どうぞ」

太「今この状況は、君のシナリオ通りなのかい?」




僕は、答えない。




太「君は前に、『異能力戦争が始まる』と言っていたね?まさにその狼煙が上がろうとしているわけだけど」

「…」

太「君には何が見えている?」






僕を射抜くような、強い眼差し。




いつだって、僕には何かが見えているわけじゃない。

僕の想像や予感が、…現実を、追い越しているだけなのだ。





「…そんなもの、僕にだって分からないよ」





僕は息を吐くように、そう呟いた。



.

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作品ジャンル:アニメ
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春海。・:+°(プロフ) - 紫霞さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけるとかなりハッピーです!\(^o^)/全力で突き進みますね☆! () (2016年12月2日 22時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)
春海。・:+°(プロフ) - 無影灯さん» コメントありがとうございます!続編も番外編も楽しんでいただけると幸いです!! (2016年12月2日 22時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)
紫霞(プロフ) - コメ2度目失礼します! 展開が素晴らしすぎる(*゚∀゚*) もうこのまま主さんの思うがまま行っちゃってください! 少なくともここに最低じゃなく最高と思ってる人がいます(*´-`) 更新楽しみに待ってます! 長々と失礼しました… (2016年12月2日 20時) (レス) id: 313344121d (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - 番外編もめっちゃ楽しみです笑(´∀`*)ウフフな展開もシリアスゥな展開もどっちも最高です!! (2016年12月2日 17時) (レス) id: bed4eaded8 (このIDを非表示/違反報告)
春海。・:+°(プロフ) - 中原 炉騎(Roki)さん» 安心してくださいお母さん!!(えっ) いつもコメントありがとうございます〜!早いとこ更新したくてうずうずしてます。(笑) (2016年11月27日 22時) (レス) id: 324ed245b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春海。・:+° | 作成日時:2016年11月3日 15時

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