【文スト】参 全身黒の、美しいひと。【男主】

伍拾参. 裏腹な言動 ページ4

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「失礼するよ。…太宰くん、少しいい？」


太「やあAくん。どうしたんだい？」

「そちらの女性の具合は？」

尾「…最悪じゃな」


「これは失礼。ですがお許しくださいね、やむを得ないことでして」





僕は部屋に入り、太宰くんの傍に近づく。






「…太宰くん、国木田くんが呼んでる。行ってきてもらえるかな」

太「了解。ここを任せてもいいかい？」

「そのつもりで来たんだよ」


太「流石だね。では行ってくるとしよう」





太宰くんが部屋を出てゆくのを見守って、僕は鍵を後ろ手で締める。


…彼女が一瞬、顔を強ばらせるのがわかる。




僕は彼女の傍らの椅子に座り、なるべく優しく見つめる。






「…さて。お話でもしませんか」

尾「何を話すことがあろうぞ」


「そうですね…では、白昼堂々と我が社の社員を襲撃したものの、他勢力に部隊を壊滅させられた気分はいかがです？」

尾「…嫌味のつもりか？」


「とんでもない。そんな可愛らしいものではありませんよ」






にこりと微笑めば、彼女の瞳が揺れる。



今の僕が、どれほど恐ろしいものに見えているのだろうか。






「…ギルドごときにやられるとは、幹部の身分が泣きますね」

尾「それを言うなれば、貴様らもそうであろう？」

「今の貴方の立場を考えてごらんなさい。…そのようなことを言える状況ですか」






僕は微笑みながら、彼女の肩を掴みつつ、ナイフを素早く首元に押し付ける。





尾「っ、金色夜叉が」

「…出せないでしょう？不用意な言動はやめた方がいいですよ」





僕はナイフを丁寧に仕舞い、微笑みをたたえながら彼女を見つめる。


彼女の表情が、固まるのが分かった。


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