【文スト】参 全身黒の、美しいひと。【男主】

伍拾弐. 互いの表情 ページ3

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国「…Aさん、先ほど社長から連絡がありました」

「何と？」


国「…拠点を移すようです」

「わかった。社員に連絡は？」

国「すみません、お願いできますか」






僕は社員の皆に連絡を取りながら、約2時間ほど前に社長と話していた内容を思い出す。





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「お呼びですか」


福「ああ、聞きたいことがある」

「…なんですか？」



福「君が知っている範囲でいい。ギルドのフランシスについて知りたい」


「彼について、ですか」

福「ああ。加えて君の考えも聞きたい」






真剣な眼差し。


僕はひとつ息を吸って、言葉を繋ぐ。






「…彼は、金で全て意のままにできると思っています。ですが、構成員も強者揃いですが、…僕には劣ります」


福「ほう」

「構成員の異能は殆ど全て使用可能ですので」





にっこり笑い、僕は彼を見る。





「それと、僕の考えをと仰いましたね。…ギルドは、この街を支配するつもりでしょう。
そうなると、ポートマフィアも黙ってはいられない。
つまりは探偵社とポートマフィア、そしてギルド。恐らくきっと、」



福「…三社三つ巴の、異能力戦争か」

「ええ。誰かが行動を起こせばすぐに始まるでしょう。そうなる前に、手を打つべきです」





僕がそう言うと、社長の顔は険しさを増す。


そっと目が伏せられて、静かに頷いている。






福「…成程」

「あとこれは、個人的な意見ですが」







そっと彼に歩み寄り、耳元に口を寄せる。


そしてなるべく小声で囁いて、僕は元いた立ち位置に戻る。





福「…A、何を企んでいる」

「何も企んでなどいませんよ」




僕の穏やかな表情とは裏腹に、社長は厳しい表情をしていた。



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