【文スト】参 全身黒の、美しいひと。【男主】

陸拾肆. 悪夢のような ページ15

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【太宰 視点】









Aから連絡があった後、割とすぐに社長から連絡が来た。


内容は、Aが言ったものに酷似していた。





そして、樋口さんと銀ちゃんから聞かされた恐ろしいこと。

…まさか、本当にQを解放するなんて。





それが、どれほど恐ろしいことか。


あの時、かなりの労を費やしてあの忌まわしい異能を封印したというのに。






太「…敦くん」

敦「僕は、…僕はっ！！」






…この子は、すぐに影響されるタイプか。


Qによって発狂しかけている敦くんの頬を叩き、私は声をかける。






太「…聞き給え敦くん、たまには先輩らしい助言をしよう」


敦「っ」

太「自分を哀れむな。自分を哀れめば、人生は終わりなき悪夢だよ」





彼に向けて言った言葉が、まるで自分のものではないかのように流れる。




…ああ、そうか。


私はずっと自分を哀れんできたのか。




そっと瞳を閉じれば、Aの声が脳に響く。

今の言葉は、彼が私に言ったものだ。





…そうか、だから彼も私も(・・・・)、悪夢に囚われているのか。


そしてまだ、その悪夢から逃げられずにいる。





敦「…」

太「さて、私達も手段を選んでる場合ではなくなった」






ちらりとナオミちゃんと春野さんの方を一瞥する。

…春野さんの意識はまだ無いようだ。





太「敵がその気なら、こちらも鬼札を切ろう」




仕方ないか。


私にもやるべきことがある。




…そのために、どんな苦痛を伴ったとしても。



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