【文スト】続 全身黒の、美しいひと。【男主】

肆拾玖. 無事 ページ20

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谷「Aさん！大丈夫でしたか」

「うん。…みんな無事みたいでよかった」





賢治くんも、ナオミちゃんも、無事だったようだ。



ナオ「Aさん、無事でしたか？」

「うん、ありがとうナオミちゃん」





僕はふと、思い出したように指を鳴らして時を止める。

…こういう時には便利だと思ったりもするが。




「えーと…いた」




人混みの中からあの男性を見つけ、近づく。

その傍には、見知らぬ可愛らしい少女が。



…ああ、探していた少女ってこの子か。





「お嬢さん、少し失礼…」




彼女の頭のリボンを手に取り、超小型の盗聴器を中に仕込む。

…自分の手先が多少器用で助かった。




さっきまでいたところに戻り、何事も無かったように指を鳴らす。






谷「Aさん、…どうしてあんなことに？」

「分からない…でも、『団長に会わせなきゃいけない』って」

ナオ「団長ってことは、あの嫌味な人ね？」




…嫌味な人。まあそうか、そんな感じだな、たしか。




「そう。やだなあ、モテ期かな」


ナオ「もーAさん、冗談なら笑えないですわ」

「ごめんごめん」





潤くんは、僕の顔を見ながらため息をつく。



それにしても、本当に無事でよかった。

…これも全て、敦くんのおかげか。彼も逞しくなったなあ、と僕は感心した。




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