【文スト】続 全身黒の、美しいひと。【男主】

肆拾伍. 追いかけっこ ページ16

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【敦 視点】







ル「ルールは簡単よ。
アンと追いかけっこをして、タッチされたら皆さんの負け。
捕まる前にその鍵でドアを開ければ皆さんの勝ちよ。人質はお返しするわ｣





この場にいるのは、3人。

1人、民間人がいるけど、彼も人を探しているらしい。





ル「それで？参加するのは誰？」

谷「…二人同時でもいいのか」




谷崎さんが、低い声で尋ねる。




ル「もちろん良くってよ！お遊戯は皆の方が楽しいもの！」







その言葉を聞いて、ぼくは鍵を取る。


…谷崎さんの、空間に虚像を映し出す『細雪』があれば、勝てる。





ル「準備はよろしくて？」

谷「ああ」

ル「レディー…」




目の前の女の子が、にやりと笑う。





ル「ゴー！！！」





その声とともに、人形が谷崎さんを捕らえる。

…速い！？





ル「うふふ、…ひとーりめ、捕まえたっ♪」




扉から幾多の手が伸びてきて、谷崎さんの体を掴む。





敦「っ、谷崎さん！！」

谷「うわあああああｯ？！」




あっという間に谷崎さんは向こうに吸い込まれ、勢いよく扉が閉まる。






ル「またお友達が増えちゃったわ♪ 嬉しいわね、アン！…え、なあに？まだ欲しいの？それじゃあ…」






振り向いた彼女は、…狂気に満ち溢れた目をしている。


襲いかかってくる人形を、どうにか異能を発動して避ける。




ル「すごいすごーい！もっと見たいわ〜。｣




ぱちぱちとわざとらしく拍手をして、ぼくを見ている彼女。




ル「なんて力強くて便利な異能力なんでしょう。さぞ幼少からチヤホヤされたに違いないわ」

敦「っ、」

ル「貴方、元孤児なんですってね。わたしも孤児院育ちなの」





そう呟いた彼女の顔は、…さっきまでとは少し違って見えた。


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