【文スト】続 全身黒の、美しいひと。【男主】

肆拾弐. 消えたもの ページ13

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【太宰 視点】









翌朝。




「ビルが丸ごと…へえ、恐ろしいね」




ポートマフィア構成員が事務所として利用していたとかいう7階建ての建物が一晩にして消滅。


そんなニュースが報道されていた。




…まあ間違いなくギルドの仕業だろう。

Aはというと、いつも通りの格好でいつも通りコーヒーを飲んでいる。





谷「…賢治くんも、やはり寮にはいませんでした」

太「逆らう探偵社も用済みのマフィアも全て消す…か」


「これはきっと宣戦布告だね。でもあのギルドが、こんな目立つことを…？」





…彼は、元々ギルドの構成員だから。

彼らの大抵のやり方は分かっているのだろう。




だが今、彼は少し動揺しているように見える。…それは、彼の知るやり方では無いからか？





太「そういえばAくん、昨日社長に呼ばれてたみたいだけど」

「ああ。気をつけろってさ」





そう言って何やらポケットに手を突っ込むA。



…なにか探しているのだろうか。






「…あ、社長にキセル取られたんだった」

谷「平気なんですか？」

「中毒じゃないけど、心許無いよねえ」





わざとらしくため息をつく彼。

こう見えても結構な喫煙家だからね、この人は。





国「谷崎、敦と組んで賢治を探せ」

谷「はい！」


「あ、それ僕も同行していい？」

太「…Aくん？」

「だって、君たち前に芥川と遭遇した時の2人でしょ？不安じゃない」





そう言ってにこにこ笑う彼は、…何か企んでいるに違いない。



ああいう時のAは大抵怪しい。

ここ二、三年ほど彼と付き合ってきて学んだことだ。





国「じゃあAさん、お願いします」

「はーい」



私は静かに、ため息をついた。


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