【文スト】全身黒の、美しいひと。【男主】

壱. 虎の入社初日 1 ページ3

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【敦 視点】






武装探偵社。




僕は、ひょんなことからここの社員となった。

ここには異能力を持つ能力者が多く在籍している。




…まあ、僕も実はそうだった訳だけど。





敦「…あの、太宰さん」

太「…ん？どうしたんだい？」

敦「あの方は、？」





僕の見ている方向を一緒に覗いているのは、太宰治さん。

…異能力は、『人間失格』。





太「…ああ、まだ紹介してなかったね」




こちらの視線に気づいたのか、ソファーから立ち上がってこっちに向かってくるその人。


…右眼に黒い眼帯をつけてはいるものの、綺麗に整った顔。




「…太宰くん、こちらは？」

太「新入社員なんだ。ほら、名乗って名乗って」

「いや、僕から名乗るよ。はじめまして。神楽Aです」





穏やかで少し低い、心地よい声。

見えている左眼に、釘付けになりそうで。




「それで、君の名前は？」

敦「あっ、中島敦です」

「じゃあ、敦くんだね。よろしく」




すっと手を差し出して、にこりと笑うその人。


…すごく、綺麗だ。





「…ああ、思い出した。虎の新入社員って君だったんだね」

敦「あ、あはは…」



にこりと笑う彼。


癖毛のような艶やかな黒髪を結んでいる、その髪型だけを見れば、女性のようにも見える。




太「綺麗でしょ〜、これでも私より歳上なのだよ」

敦「えっ」

「え、普通にそう見えるでしょ？」




…太宰さんより歳上ってことは、……何歳なんだろうか。



よくよく考えれば、ぼくはまだ太宰さんの年齢すら知らなかったことを思い出した。




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