◇share.29◇ ページ31
昼の休憩に入り、私は真っ先に人気の少ないスペースに行った。
鞄から持ち出したスマホを開いて光忠さんに電話をかける。
光忠[もしもし、Aちゃん?]
『ぁ、光忠さん。
お仕事中にすみません。』
光忠[ううん、今は休憩時間だから大丈夫。
それよりどうしたの?]
電話越しに光忠さんの声が聞こえる。
はっきりと通って、それでいて温かみのある声。
いつもなら安心する声なのに、今は胸が痛くて堪らない。
『…ぁ、あの、今日の夕食の事、なんですけど』
光忠[一緒に作ろう、って言った事かな?]
『は、はぃ…』
歯切れの悪い話し方になりながらも、何とか言葉を紡ぐ。
光忠さんが返事をするたびに胸の痛みが増していく。
『…あの、ごめんなさい。
今日、バイト残らないといけなくなって…
帰るの、9時過ぎちゃうんです。』
光忠[そっか、それなら仕方ないね。
今日しかないわけじゃないし、また今度にしようか。]
光忠さんの声色が変わった。
少しだけ、彼の言葉が沈んだ雰囲気をまとった。
落ち込んだ様子で苦笑する光忠さんが目に浮かぶ。
『本当にごめんなさい。
せっかく、時間を作ってもらったのに。』
光忠[いいよ、気にしないで。
晩御飯は帰って来てから食べる?]
『ぁ…、大丈夫です。
遅くなるかもしれないので、コンビニで済ませます。』
光忠[うん、分かった。
帰り道は気を付けてね。]
『はい、ありがとうございます。』
文句の1つくらい言ってもいいのに、
光忠さんはいつものように優しく言葉をかけてくれる。
そんな優しさに、さっきよりもずっと胸の痛みが強くなる。
光忠[あ、そろそろ戻らないと。
ごめんねAちゃん、お仕事頑張って。]
『はい。私の方こそ、いろいろすみません。
光忠さんも、お仕事頑張ってくださいね。』
光忠[うん、ありがとう。それじゃぁ。]
電話が切れ、ツーツーという音が耳に響く。
私も通話画面を切って鞄にしまい、足早に仕事に戻る。
胸の痛みは、まだ残ったままだった。
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さら - はじめまして！！凄く面白いです！！みっちゃんと鶴さん好きなのでうれしです！！続き楽しみにしてます！！ (2019年11月28日 1時) (
レス) id: 8178d9f7d8 (このIDを非表示/違反報告)
イズ - すごく面白かったです。更新頑張ってください！ (2019年4月17日 6時) (レス) id: 45f0691588 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 黒子さん» ご指摘ありがとうございます。すみません、既に公開していた30話と作成中の31話を反対に表示していました。 (2018年11月10日 3時) (レス) id: 23b2834a1b (このIDを非表示/違反報告)
黒子 - すみません…最新が『31話』になってますが『30話』の間違いではないでしょいか？ (2018年11月10日 3時) (携帯から) (レス) id: d5ccda77cf (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます!!今はこの作品に集中していますが、いずれ新しい作品も作ろうと思っています。その際はミリア様のご意見も参考にさせていただきますね。今後も頑張って更新していきますので、応援よろしくお願い致します。 (2018年8月17日 1時) (レス) id: 7a28baf34f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：浅葱 | 作成日時：2018年3月14日 4時
