六話 ページ7
ーーー翌朝ーーー
『うぅ"〜…頭いったぁ……』
黒岩が目を覚ますと、そこは中原の執務室。
そして頭の上には中原の腕が乗っていた。
(中也くんはやっぱり優しいねぇ)
黒岩はそんなことを思い笑う。
『……よしょっと』
腕を退けて起き上がり、布団を中原に掛け執務室を出る。
ーーー
鏡花「……誰？」
『やあ、鏡花ちゃん。』
執務室を出た黒岩が向かった先は地下室。
そこには暗闇の中、兎のストラップの付いた携帯を握り締めた鏡花がいた。
鏡花「私は貴方を知らない」
『おや、そういえば自己紹介がまだだったねぇ』
(それにしても……警戒心の強い子だ)
『私の名は黒岩…黒岩Aだ。』
黒岩は鏡花と目を合わせようとするが、
一向に目が合わない。
それどころか、視線はこちらを向きながらも鏡花は黒岩を見ていないようだった。
(……)
黒岩は暫しの沈黙の後、鏡花が座っている椅子の向かいに腰掛けた。
『……鏡花ちゃんは、何歳だい？』
鏡花「……14」
『そうかい！若いねぇ〜！！』
黒岩は満面の笑みでそう云うと、自分のポケットに手を突っ込んだ。そして取り出した物を鏡花の前に差し出す。
『ほら、御守りだよ』
それは小さな白い御守りだった。
『今日は梶井くんと任務だろう？持っていきなさい。』
鏡花「……」
黒岩は半ば強引に鏡花の手を取り御守りを握らせた。
『これはね、ただの御守りじゃないんだよ〜』
鏡花は不思議そうに黒岩を見つめる。
黒岩はニッコリと笑い話を続けた。
『この中にはね、魔法が込められてるんだ……鏡花ちゃんを護ってくれる魔法だよ』
鏡花「魔法……？」
『そう…』
黒岩は御守りの口を開き、何かを取り出す。
黒岩が取り出したのは、兎の形をしたストラップだった。
鏡花「……！」
鏡花はそれを見て目を輝かせる。
『此の兎が君を護ってくれるんだ。』
黒岩は御守りをもとに戻し、鏡花の首にかける。
『ほら、此れで何時でも兎が護ってくれる。』
鏡花は首にかけられたストラップを見つめ、小さく微笑んだ。
黒岩はそんな鏡花を見て微笑み返すと立ち上がり地下室の扉に向かう。
『それではね、気をつけて……』
黒岩はそう云い残して部屋を出た。
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作成日時：2023年11月6日 20時
