�� ページ13
.
黎弥「ふーん…じゃあ何。俺よりも、君の方が偉く生きてるとでも？」
北人「誰もそこまで…」
葵唯「いい加減にしたら？」
吉野くんが変わらずに反論しようとしたけど…私はあまりにも瀬口の態度にいらついて、口を挟んでしまう。
それも、すごく低い声になった。吉野くんも…驚いてる。
葵唯「あんたがどんな価値観を持ってるかは知らない。でも少なくとも私は、あんたよりも吉野くんの方が数倍良いと思うけど？…もう着いてこないで。行こ、吉野くん」
早く瀬口から離れたいがために、私は吉野くんの腕を無理やり引っ張って歩き始めた。
北人「え…さ、佐藤さん？」
吉野くんが言いたいことはわかる。
でも…ごめんね。今だけは、我慢して。
＊
慎「…大丈夫、君たち」
葵唯「もう嫌…何なのあの男」
北人「…ご、ごめん佐藤さん」
買ったものをレジ袋に詰めている長谷川くんのところまで来ると、私は力が抜けたように壁にもたれた。
吉野くんはさっきからずっとオドオドしてるけど…気にすることないのに。
葵唯「いいよ…でも、さっきのはあっちが悪いもん」
北人「…ありがと。感謝してる」
私が言ったことに対して、吉野くんはふわりと笑って言ってくれた。
何だか…すごく悔しいけど。一瞬でも私は、その吉野くんの笑顔に、思わずドキッとした。
可愛いと言った方が、正しいけど…でも、すごくカッコよく見えて。
慎「…手伝ってよ君たち」
北人「あ、はーい！」
…今、瞬間的に子供の吉野くんに見えた。
そんなことが少し残念だな…なんて思ってしまった。
なんだか私…どうなってるんだろう。おかしいのかな？
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜花 | 作成日時：2021年5月23日 13時
