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『……もうやめてよ』
またそう言って、心配そうに見てくるアーモンドみたいな形をした目。そして細い眉をこれでもかと言うくらいに垂れ下げている。
俺の服の袖を掴んで離さず、そのまま口元の固まりかけた血にハンカチを当てようとした。俺はそれを煩わしそうに腕を振るって離し、目を細めて彼女を見下ろす。
『お願いだから、夜兎高の神威と連むのはやめて』
『またこんな怪我して、総悟が……』
再び俺の腕を掴もうとした手を払い、「お前には関係ない」といつもの台詞を吐き捨ててから背を向けた。
「俺の勝手だろ」……そんな言い訳を使っては、また見えるところに傷を作る。
どうして自分がそんなことをしているのかはとっくに検討がついていた。こんなことで彼女の気を引いている自分を嘲笑してしまうが、これは俺から彼女、Aへの罰なのである。
自分の犯した罪に何も気付いていない彼女は、また今日も思惑通りに俺の前に現れるのだ。
悪さをして傷を作った時……それは俺だけがAの身体も心も全て独占できる唯一の時間だった。俺を更生しようと頭を悩ませ、引き戻そうと腕を掴む。
連むのはやめてやるからキスしろよ……なんて言っても、きっとあいつなら応じてしまうだろう。でも俺は、そんな簡単なことが出来ない意気地無しだった。
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ハル(プロフ) - ゆうかさん» 過去作も読んでくださったんですか!! うわあ、とっても嬉しいです^^ これからもバンバン作品を作っていきたいと思っておりますので、また新作が出ましたらたくさん読んでいただけるととってもありがたいです! コメントと応援、どうもありがとうございました!! (2017年10月7日 13時) (レス) id: d8241361cf (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - すっごく素敵なお話ばかりで1日で昔のものもほとんど読んでしまいました(;^ω^)これからも頑張ってください!応援してます! (2017年10月7日 11時) (レス) id: da24fb15e8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます! 最後は無事にハッピーエンドです!! ちょっと拗れた青春でしたが、紫蘭さんが楽しんでいただけたのなら良かったです。新作、完成させてからの投稿となっておりますので、お時間空いたときにでも読んでくださいませ! いつも閲覧どうもです!! (2017年10月6日 18時) (レス) id: 637325fbc5 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» ありがとうございます! 個人的にエロスが書きたいわけではないのですが、作品にそれっぽい表現が登場人物を表すために必要な時は薄っすら入れるようにしてます笑 高杉パパってわけじゃないけど、みてくださいな^^ コメントどうもありがとう。 (2017年10月6日 18時) (レス) id: 637325fbc5 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 完結おめでとうございます!皆幸せになる青春を謳歌しているなんて羨ましいです…笑 二人の思いが通じて良かったです! 新作頑張って下さい! (2017年9月30日 10時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年9月11日 18時