「好奇心」は自分の首を絞める〜Part7〜

小さな約束7 ページ47

『新……一……』


ズルっとAの手が離れた瞬間、その腕をガシッと掴まれた。


「くっ…」

『し、新一！？』


間一髪で新一がAの腕を掴んだ。


「A…！もう片方の腕を！」

『…』


Aはもう片方の手の中に掴んだ物を一度見て、それを持ち直し腕を伸ばした。

その伸ばされた手の中に新一はある物を見つける。
それは古びたオモチャの指輪だった…


その瞬間新一の脳内でフラッシュバックがおきる…


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『しんちゃーーん！』

「まってよAおねえちゃーん！」


親戚で家も近く、小さな頃からずっと遊んでた…
家族ぐるみで仲良くて、どこへ行くのもだいたい一緒だった。
幼稚園に行っても、小学校へ行っても二人の仲は変わらなかった…


ところがある時、Aの家族が遠くへ引っ越すことになってしまった…

その時新一は小学2年生、Aは5年生になる前の春休みのことだった…

いつもは元気で優しいAが、珍しく泣いてる姿に新一も悲しくなった…


『わ、わたしっひっこし…ヒック…しんちゃんと…ヒック…もうあえない…ヒック』

「なくなよAねえちゃん…」


泣いてるAに新一はなんとかして笑って欲しかった…
だから、新一は自分のおこずかいで買った、駄菓子屋にあるようなオモチャの指輪を出した。
それは新一の瞳と同じ青い色したプラスチックの宝石が付いた指輪…


「A…これ…」

『ふぇ…？』

「これあげるよ！」

『…でもこれ…しんちゃんのたからもの…』

「うん…だけど、Aにあげるね？」

『どうして…？』

「やくそくだよ…？



こんどあったら…




かならずAをおよめさんにするよ！！」


泣きそうな顔をグッと堪え、新一はにっこり笑った。
その言葉にAは泣きやみ、指輪を見た…


『やくそく…？』

「うん、やくそく…！」


新一はその指輪をそっとAの左手の薬指にはめた。


「だからなかないで？」

『…うん！ありがとう…ありがとうしんいち！』


二人はギュッと抱き合った…


出発当日、Aは車から身を乗り出して新一に向かって手を振る…


『しんちゃんまたねーー！』


その手にしっかり指輪をつけたまま…


Aが見えなくなった後、新一は一人部屋でこっそりと泣いていた……


「やくそく…だよ…」




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「…そうだ…俺はあの時…」


新一は思い出し、指輪を見つめた……

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