「好奇心」は自分の首を絞める〜Part7〜

小さな約束2 ページ42

『…有希子さん話してなかったんですか？』

「サプライズにしようかなーって…」

『本当は？』

「言うの忘れてました…」

「おい母さん！！」

『あー…新ちゃんには最初から説明するね？』


彼女の説明はこうだ…
高校を卒業し、この春から専門校に通うことになったAだが、希望する学校が都心部だった。
本当は一人暮らしして通う予定だったが、その話を聞いた有希子が


「じゃあ家に来ない？女の子一人都会暮らしは心配が多いでしょう？私も女の子がいると楽しいし！」


…ということで家主の工藤優作にも話し、彼も快く承諾してくれたのでこの家で世話になることになった。


『…っていう訳なのよ。』


チラッとソファーの後ろに置いたキャリーケースを見てAは苦笑いをする。


「別に家で暮らすのはいいんだけどよ…ちゃんと言ってくれよなー？」

「えへへ…新ちゃんごめんね？」

『でも、新ちゃんちょっと見ない間に大きくなったわねぇ』

「その「新ちゃん」ってやめろよ…俺もこの春から高校生なんだから…」

『ふふふ、昔の癖で…』

「でもAちゃんが来てくれて嬉しいわ？私娘が欲しかったのよー！明日二人でゆっくり買い物しましょ！」

『はい！是非！』


その後、Aを部屋に案内し、荷物を片付けた。


『あぁ…有希子さん、これつまらない物ですが、両親から…』


お土産を渡し、一息つく。


「この辺りも随分変わったでしょ？」

『そうですね…かなり変わってて驚きました。』

「そうだ！新ちゃん！せっかくだからこの辺り案内してあげなさいよ！」

「えー…なんで俺が…」

「…」

「イッテキマス」

『よろしくね新ちゃん！』

「だからその新ちゃんやめろよ！」


そうして二人は周辺を散歩しに出掛けて行った…


『うわ〜あのお店無くなったのね…』

「そう言えば新しいケーキ屋ができたらしいけど…」

『え！？行きたい！新一行こうよ！』


Aは楽しそうに笑って新一の腕を引っ張る。


「わっ！引っ張るなよ！」

『早く早く！』


笑いながら腕を引っ張る彼女の顔に、新一は一瞬フラッシュバックする…

なんだ…？

なんか見たことあるような…？

『…新一？』


ボーッとした顔をした新一に心配になって声をかける。


「…あ…何でもねぇよ…こっちだ」


ハッと気付いて新一は歩き始める。
今朝と同じようなモヤモヤがして、新一はまた頭をガシガシと掻いた。


「おかえりなさい二人とも！」

『ただいま有希子さん！』


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