「好奇心」は自分の首を絞める〜Part7〜

バレンタイン 景光 ページ13

(設定)(組織壊滅後、日本に帰国して暫く経った時のお話です…)


バレンタインデー当日…事前にデートしよう！と誘われ駅前で待ち合わせしていた。
白いニットワンピースにヒールブーツ。
薄ピンクのコートに同じ色のバッグ。
その中にちゃんと彼へ渡す手作りのチョコを入れて待っていた。

時刻は10時前…待ち合わせは10時…

少し早かったかな…うぅ、寒いなぁ…マフラーと手袋持ってくれば良かった…

電車で向かうと話を聞いたので面倒になり置いてきたのだが…少し失敗したと後悔していた。
その時…


「お姉さん一人〜？」

『…』


いかにも軽そうな男が話しかけてきた…
無視を決め込もうと俯くと、その男は背を低くして顔を覗き込んでくる。


「あ！分かった！バレンタインに振られちゃったとか！？うわ〜可哀想！俺が慰めてやろうか？」


何をどうしたらそんな考えになるのか少し呆れていた時、その男がAの肩に腕を回そうと伸ばしてくる。
瞬時にそれに気付き、叩き落とそうと右手を動かした瞬間…


ガシッッ！！


「いや〜悪い悪い！待たせたみたいだな…
それで…俺の女に何の用だ？」

『っ！』


ドス黒いオーラを放ち男の腕をギリギリと掴む彼は…


『こ、晃一…！』

「大丈夫か？何もされてないか？」

『う、うん…大丈夫だけど…離してあげたら？』

「いだだだだだだ！！」

「お？」


さっきのドス黒いオーラが無くなり、晃一はその手を離す。
そしてスっとAの目を大きな手で隠した。


「…という訳でさ、俺達これからデートなんだ…二度と彼女に近づくな…！」


隠されている為見えないが、雰囲気からきっとスコッチ部分が出てきてるんだろうなぁ〜とぼんやり思った。
少しして手が離れる…目の前にはいつもの人懐っこいニカッとした笑顔が見えた。


「Aお待たせ！」

『うん…』


先程の男はもういない…それどころか周りの男達がコソコソと去っていくのが見えた。


「まだ10時前なのに早かったな？」

『…その…』

「ん？」


何故早く待ち合わせに来たかなんて…理由は一つ…


『…早く晃一に会いたかったから…』


言ったものの恥ずかしくなり視線を逸らした。
するといきなりギューーっと抱き締められる。


『んなっ！？』

「もー！めちゃくちゃ可愛いこと言ってくれちゃってー！！」

『ちょ！いたたた！ヒゲ！ヒゲ痛い！！』

「今日のデートが楽しみだな〜！」

満足した晃一はAの手をしっかりと繋ぎ、改札口へと向かった。


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