守りたいもの

デート2 ページ14

二人も端の方に座って水槽を見上げる。


『見てください透さん、お魚達が泳ぐ姿は綺麗ですよね。』

「…Aさん…」

『何ですか？』


呼ばれて隣を見れば、いつの間にか近い距離に透の顔があり、一瞬叫びそうになるのをグッと堪えた。
すると彼はスっとAの耳元に口を寄せる…


「その堅苦しい敬語を止めて貰えませんか？」

『え？』

「恋人なんですから…敬語じゃなくて気軽に話してください。」


耳元で囁かれて体がゾクゾクと反応する。


「Aさん？」

『わ、分かった…！分かったから…耳元止めてっ』


そう言えば満足そうに口角を上げて離れる透と目が合う。
その青い瞳に見透かされるように見つめられ…


『…透さんの瞳…同じね…』

「え？」

『この水槽と同じ…強く輝いて…吸い込まれそう…とても綺麗ね…』

「っ！」


そう言うと透はポカンとした顔をしていた。

あ…降谷さんの貴重な表情…

そう思っていたら、突然彼は立ち上がった。


『透さん！？』

「他の所に行ってみましょうか！」


そう言ってAの手を掴み顔を逸らしたまま歩き始める透。
その耳が少し赤くなっているのをAは気の所為かな？と首を傾げた。

その日は水族館を堪能し、最後はディナーに行った後家まで送ってもらった。


『ありがとうございます透さん！とっても楽しかった！』

「僕も楽しかったですよ。また連絡しますね！」

『はい！じゃあおやすみなさい透さん！』

「おやすみなさい、Aさん」


挨拶して車を降りれば直ぐに去っていった…

ふぅ！デート任務終わり！！でも結構楽しかったなー！

Aは家に帰るとスケジュール帳を取り出し次の予定を書き込んだ。


『降谷さんと違って安室さんは紳士キャラなのかな…確かに女性が好きそうなキャラしてるわー…そしてそれを演じきる降谷さんはやっぱり凄いなー！』


先程のデートを思い出しAはニヤニヤが止まらなかった。


その後、仕事の日はいつも通りの降谷さんと対話し、休みが合った日は安室さんとデートに行く日が多くなった。


『透さんおはよう！！』

「おはようございますAさん！」


駅前やAの家に迎えに来たりと、はたから見たら本当に仲のいい恋人同士に見えるだろう。


『今日は何処へ行くんですか？』

「実はトロピカルランドのチケットが手に入りまして…」

『トロピカルランド！すっごく楽しみ！！』

「それは良かった！」

遊園地なんて何時ぶりだろ…楽しみだなぁ…

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