074 平穏 ページ30
――Aちゃん、起きて
誰かが私の身体を揺すっている
――ここで寝たら風邪ひいちゃうよ
……この声は、主のものだ
まだ重たい瞼を懸命に持ち上げると、視界いっぱいに木々や草花が映し出された
そこはのどかな中庭が見える縁側だった
どうやら私は居眠りをしてしまったらしい
右を見ると、微笑んでいる主がいた
――あ、A、こんなところに居たのかよ
その後ろから金木犀が歩いて来て、主もそちらを向く
金木犀と主は短い会話をしてから、私に立つよう促した
私に見せたいものがあるらしい
主は私の右手を握って、金木犀は私の左隣でこの光景を感慨深い表情で見ている
主に引っ張られて歩くこと数分
大広間がある場所まで来た
あれ、今日は何か大切なことでもあったっけ
それの答えが出るよりも早く、金木犀が障子に手を掛け、開いた
その先には――
A、顕現一周年おめでとう!!
「え……顕現、一周年?」
加州「そうだよ。一年前の今日、Aは顕現したんだ」
「そうでしたっけ……よく覚えてません」
安定「まあ、あの時は色々大変だったもんねー」
アスナ「昨日、皆が『明日はAちゃんが顕現した日だ』って言ってたから、急いで準備したんだけど……びっくりしてくれて良かった!」
「『びっくりしてくれて』って……そこは『喜んでくれて』じゃないんですか……」
アスナ「ふふ、そうだね。……Aちゃん、喜んでくれた?」
「もちろんです。とっても、嬉しいです!」
そこで夢から覚めた
「顕現一周年か……」
確か、その宴会をしたのは半年ほど前だ
恐らく、昨日、一時的に失っていた記憶を一気に思い出したために半年前の出来事が夢に出てきたのだ
ちなみに、昨日は、桐を政府に渡した後に本丸に戻り、大広間でお酒を飲みながら私がいない間の出来事を聞いたため、寝たのは日付が変わってからだ
それにしても、私が24時間で闇堕ちしてしまうなんてきいたときはとても驚いた
私達が本丸に帰ってきたのが、私が攫われてから21時間30分が経過していた頃だったらしい
――皆に心配かけちゃったな……
夜空「おーい、A起きてるかー?」
「うん。今起きたよ」
私はそういうと手で軽く髪を整えて、障子を開けた
「おはよう、夜空」
夜空「もう『おはよう』の時間じゃねえぞ。今は昼だ」
「え……
寝すぎたああああああ!?」
平穏が戻った本丸に、私の叫び声が響いた
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白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (
レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつもいつも楽しみにさせて頂いております！これからも更新頑張ってください！ (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白（あきら） | 作成日時：2019年10月13日 2時
