検索窓
今日:8 hit、昨日:12 hit、合計:28,357 hit

065 命に代えても守る ページ21

――Aちゃん、起きて

誰かが私の身体を揺すっている

――ここで寝たら風邪ひいちゃうよ

……この声は誰のものだろう

春の暖かい風が吹くようなこの声を、私はどこかで聞いたことがある

まだ重たい瞼を懸命に持ち上げると、視界いっぱいに木々や草花が映し出された

そこはのどかな中庭が見える縁側だった

どうやら私は居眠りをしてしまったらしい

右を見ると、明るい茶色の艶やかな長い髪を持った女性がいた

顔は太陽の光で照らされていて、微笑んだ口元だけが見える

――あ、A、こんなところに居たのかよ

その後ろから金木犀が歩いて来て、女性もそちらを向く

金木犀と女性は短い会話をしてから、私に立つよう促した

私に見せたいものがあるらしい

女性は私の右手を握って、金木犀は私の左隣でこの光景を感慨深い表情で見ている

女性に引っ張られて歩くこと数分

大広間がある場所まで来た

……あれ、どうして私は、ここが大広間だって分かったんだろう

それの答えが出るよりも早く、金木犀が障子に手を掛け、開いた

その先には――









誰かに名前を呼ばれて、目を覚ます

しかし、目の前にいたのはあの女性ではなく、()さまだった

「主さま……どうかしたのですか?」

私は上体を起こしながら主に問う

桐『それが……俺が張った結界が何者かの手によって破壊されたんだ』

「それはっ……! 大事ではないですか!」

桐『今、他の男士たちを向かわせているけれど、俺の結界を破壊したんだから、それに対応する力を持っているはずだ

この本丸に侵攻してきたのが、刀剣男士だけなのか、それに審神者も入っているかはまだ分からない。でも、今すぐ敵のもとに向かって無力化してきてほしい。できるかい?』

「……はい。この青薔薇の剣、命に代えてもこの本丸を守って見せます」

主さまは微笑んでありがとうと言ってから部屋を出た

「……命に代えても、守る……」

私は先刻の夢を思い出して、ぼそりと呟いた

――私は、ユージオ様と桐さまの他に、そう誓った人がいる気がする

――気のせいか

私は立ち上がって戦闘の準備を始めた

066 桐という審神者→←064 足跡



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (35 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
105人がお気に入り
設定タグ:SAO , ユージオ , 刀剣乱舞
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

白(あきら)(プロフ) - 銀狼さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年10月13日 23時) (レス) id: 46e374d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
銀狼(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつもいつも楽しみにさせて頂いております!これからも更新頑張ってください! (2019年10月13日 10時) (レス) id: c5721a90b8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:白(あきら) | 作成日時:2019年10月13日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。