微睡みとエスケープ ページ48
○JENO
「だ〜れだ」
たまに付けている香水の匂いがした。練習の時に軽く付けると気分が上がるって雑誌で言ってたやつ。後は少しだけ頬に触れた手が冷たくて、もうすぐヌナの手が氷みたいになっちゃうから、体温の高そうなマクヒョンの首にいたずらをする季節がそろそろやってくる。
『ヌナ？こういうのはちょっと声を変えないと』
「ジェノは賢いねえ」
『誰でもわかるよ、ヌナだもん』
「そうかなあ」
薄い手を握ったまま、くるりと体を動かしてみる。わ、と言ったヌナと思っていたよりも近くで顔が合わさって、多分ヌナと同じ顔をしている。ぱたぱたと音が鳴りそうな瞬きの後、誤魔化すようににこっと笑ったヌナを見て、ゆっくりと普通の距離まで顔を離す。普通かどうかは分からないけど。
『ヌナ眠いんでしょ』
「今日は朝から色々あってね」
『ご飯は食べた？もう夕方だけど』
「う〜ん、ちゃんと食べたって言ったら嘘になるかも」
『ドヨンイヒョンにバレたらやばいくらい？』
「うん、そうかも」
ヌナは眠いとゆっくり瞬きをするらしい。そもそも僕らの前ではしっかりしたお姉さんでいたい(らしい)から知らなかったけど、ヌナたちのグループのコンテンツを見ると、ジョンウヒョンの肩で寝ているヌナとか、ヒョンたちと話すときの声がゆっくりしていたりだとか、マクヒョンと話して声を出して笑っていたりだとか、こんなに一緒にいるのに、まだまだ知らないヌナばかりだ。
「ジェノは何してたの？」
『頼んだご飯を待ってるところ』
「わたしここに居ても良い？」
『うん、一緒に食べる？』
「そうしたいんだけどまだスケジュールあって」
『あとどれくらい？』
「15分くらい」
『じゃあ10分後に起こしてあげる』
本当はちょっとだけ、ヒョンたちが羨ましかったから。ドヨンイヒョンのところに歩いて行って、ヒョンが隙間を開けて、そこにぎゅっと収まって、目を閉じるヌナが、なんだか、はじめて見たから。ヌナより背が大きくなっても僕らは可愛い弟だけど、肩くらいは借りたって良いでしょ？
「…じゃあお言葉に甘えて」
重かったらごめんねなんて言うけど、バレないように横を向いたらヌナはもう目を閉じていて、なんだか自分の頬が緩む。音が鳴らないようにアラームをかけて、静かになった空間で、手を握る。10分あれば少しは手もあったかくなるのかな。
香水の匂いがする。大好きなヌナの、大好きな匂い。
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yom(プロフ) - まやにゃむさん» ペーパームーンからずっと読んで頂きありがとうございます！🥲💖これから話が進むので楽しみにしていてください🫶🏻 (2022年7月12日 22時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
まやにゃむ - ペーパームーンからファンで読んでます！推しのジェと主人公ちゃんのこの後とってもたのしみです💖応援してます💖 (2022年7月12日 19時) (レス) id: 5e67e2a30a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2022年6月22日 18時
