�� ページ19
○
『俺たちが隣に行けるのはいつかな』
「Aは俺を頼りにしてないよ」
『そう？』
「そういうのはヒョンとか、ドヨンイヒョンでしょ」
『そうかもしれないけど、』
「俺って1番Aから遠いのかも」
何とも言えない顔をして、ヒョンも早く行かないとなんて急かされてしまった。
スタートの合図が出て、音楽が流れ出す。ジョンウと一緒に自転車を漕いで、ドヨンとクンの後に2人が歩いてくる。楽しそうに歩きながら、カメラがテイリヒョンに切り替わった瞬間に、少しだけ踵のあるブーツを履いていた、Aの足がもつれた。
咄嗟に動いてしまった俺たちの、誰よりも早くジェヒョンが手を取って、そのまま引き上げる。ヤンヤンすらもびっくりしているスピードで。カメラがまたそっちを向く寸前に、Aがジェヒョンの隣に並ぶ。監督さんもカットと言いながらAを心配していたけど、大丈夫ですとAが頭の上で丸を作った。
「Aヌナ、！痛いところない？」
「ヤンヤンごめんね、びっくりしたでしょう」
「僕は平気だけど、」
「ごめん急に引っ張って」
「ううん、大丈夫です」
「それなら良かった」
「オッパがいてくれて良かった」
メイクのヌナに呼ばれて、Aがもう一度ありがとうとジェヒョンに言って、そこを離れようとする。ジェヒョンがAを呼んだのは、それからすぐだった。
「はい？」
「あ、いや、」
「うん？」
「後で……後で、話したいことがあって、良い？」
ヌナ大丈夫？とバスから降りて来たヘチャンが手を引っ張って、意識が戻ったように振り返って、うんうんと首を縦に動かす。それから少し休憩と言われて、Aはまた弟たちに囲まれてしまった。まだ車に寄りかかって空を見ていたジェヒョンが、隣に並んだ俺を見て、どうしようなんて言うからこっちが混乱しそうだ。
『さっきの、ジェヒョニがいなかったら転んでたよ』
「気付いたら手を出してて」
『よく見てたおかげだね』
「…そうかなあ」
『後でちゃんと言うの？』
「どうだろう、俺ももう分からなくて」
自転車に乗るAを見て、目が合って手を振る。ほら、と言えばジェヒョンも手を振って、にこにこと笑ってAが振り返した。どうしたら良いのかなんて、誰にも分からない。でも、Aにはずっと笑っていて欲しいなんて、お兄さんを通り越して、親みたいなことを考えていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 892人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yom(プロフ) - まやにゃむさん» ペーパームーンからずっと読んで頂きありがとうございます！🥲💖これから話が進むので楽しみにしていてください🫶🏻 (2022年7月12日 22時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
まやにゃむ - ペーパームーンからファンで読んでます！推しのジェと主人公ちゃんのこの後とってもたのしみです💖応援してます💖 (2022年7月12日 19時) (レス) id: 5e67e2a30a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yom | 作成日時：2022年6月22日 18時
