゙ ページ29
色々この形容しがたい場面に見あう言葉を考えていると、ふとすいれんさんの後ろにくっついている白い何かに気がついた。
「あれ、その子」
「あ、なおくん忘れてた」
いやすいれんさん忘れてたって。後ろめっちゃショック受けたような顔してるよ。
「兄貴の自己紹介はおいといて、直の自己紹介するか?」
「そうだね。ほら、なおくん隠れてないで前出といでー」
「……」
すいれんさんが優しい声音で促すが、男の子は敵を警戒した小動物のように動かない。すいれんさんの制服の裾をしわが付きそうなほどぎゅっと掴んで、こちらを睨み付けている。かわいいなこの少年。
「なおくん、出ておいで?」
次は圧を感じるような声で、若干脅迫のようにも聞こえる。男の子はびくっとはねて、少し止まってから、恐る恐る私の前に出てきた。
「ほれ、自己紹介しなされ!新入団員の灯色ちゃんだよ?」
「……」
男の子はやがて決心したように息を吸って吐くと、
「…東雲直(しののめなお)です。13才です。よろしくおねがいします」
「直くんだね、こちらこそよろしく!……」
「……」
直くんはすぐに、すいれんさんの後ろに隠れてしまった。
…え、挨拶というか自己紹介それだけ?
もしかして私、しょっぱなから嫌われてる?
「え、私が何かした!?そしたら謝るけど、言ってくれなかったら分からな…」
「灯色さん落ち着いて、直は通常運転だから」
「え?」
聞くところによると、直くんは極度の女性に対する人見知りを持っているそうだ。
昔から女の子に見まがうような容姿のせいで、近所のお姉さん達に中々可愛がられてきたそうだ。もともと人と喋るのがそこまで得意ではなかった直くんは、女の人に囲まれるという状況に恐怖心を覚えるようになってしまったらしい。ふうりさんは本人に聞いたわけじゃないから、単に恥ずかしがってるだけかもしれない、と付け足した。
「あれ、じゃあなんで二人は平気なの?」
「私も始めは怖がられたよ。すいれんは小さい頃からずっと一緒だから、仲いいんだ。まあ、時間経ったら慣れるんじゃないかな?」
ようするに幼馴染か。すいれんさんの後ろに隠れている理由も納得。
「男相手なら普通に接することができるんだけどねえ…兄貴限定でアレなんだよな」
「?封馬さん?アレって何?」
「なりふり構わずスキンシップ取ろうとするからビクビクされてる」
「……」
・・・封馬さん、自重って覚えないのかな。
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ひすい(プロフ) - tubinさん» わわ、嬉しいお言葉がたくさん!ありがとうございます。雪氏の挿絵も相まってキャラの可愛さが伝わっていれば幸いです…。モチベがあがるー!早めに更新できるように努力します(`∀´*)/ (2021年8月28日 0時) (レス) id: bcd955ca5c (このIDを非表示/違反報告)
tubin - ひすいさん» すごくおもしろかったです!! 無中になって読んでました!! 続きがすごく楽しみです!! 応援してます!! これからもがんばってください!! (2021年8月27日 10時) (レス) id: 73a03e30c5 (このIDを非表示/違反報告)
颯貴(プロフ) - 秘封活動録………秘封活動倶楽部を思い出した……wwそれはさておき面白かったです! (2021年1月27日 14時) (レス) id: 877859fa3c (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 梨李愛さん» な、何かが違う…。でもありがとうございます、梅酒呑みます未成年ですけど!!! (2020年11月24日 18時) (レス) id: 13e26514b2 (このIDを非表示/違反報告)
75。(プロフ) - 梨李愛さん» 梨李愛さんだ!(歓喜)推しの敵の弱点を頂きましたありがとうございます^^ ?「75と仲間になる確率が上がった!」 (2020年11月24日 17時) (レス) id: 262b134c7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひすい&雪。 x他1人 | 作成日時:2020年10月26日 21時