【銀魂】夢は、青い薔薇のようだ

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白無垢は部屋に吊り掛けられており、月光に照らされてキラキラと煌めく。手を滑らせれば、触り心地の良い高価な絹糸が使われていることが分かった。



私の父は、きっと攘夷志士だったのだろう。
だから晋助さんとも交流があり、この白無垢を託したのだった。



目を閉じれば、父が死んだと伝える叔父からの電話の声が耳の奥で再生される。江戸から京へ機織り物を売りに行っていた道中で賊に襲われたのだ。




……もしかして、父は自分が死ぬことを分かっていたのかもしれない。だから晋助さんにこの白無垢を任せたのだろうな。


私に何も言わずに逝ってしまう不器用で口下手な父が最期に残したもの。


それを愛しい人の前で見せられたのは、最高の贈り物だった。





『……案外、もう懐かしいモンだな』




聞こえた声に振り向くと、白無垢と同じくらい月の光を浴びるように立っているのは晋助さんだ。彼は私の横で一緒に白無垢を見つめる。

あの日を思い出しているのか、しばらくの間黙りこむ。



私も同様に式のことを思い出し、誓った赤い薔薇を再び胸の中で咲かせていく。晋助さんがあの日言った「お前によく似合う」の意味がようやく分かった。




『ありがとうございます』

『なんだァ、急に』

『……言いたくなったんです』




きっと晋助さんが居なかったら、誰にも貰われずにいた私は白無垢を着ることなんて、なかっただろう。

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