【銀魂】夢は、青い薔薇のようだ

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『どうしたんです。猪女』




「いつもの元気がありませんね」という武市先輩の嫌味に怒ることができない。Aのことが気がかりで、今はそれだけしか考えられないのである。




『……最近、Aの様子がおかしいと思うんス』




何か知らないか、そう武市先輩に目を向ければ彼は口を噤んでしまう。何か知ってそうなその様子に、胸が痛んだ。

私はAのことを誰よりも傍で見て来た。それなのに、私以外の人が彼女の抱え込んでいる訳を知っている。



所詮生きる世界の違うAとは、本物の友達になれないのだろうか。



花や可愛らしい物に囲まれているのが似合う彼女と、屍の山に埋もれる私。きっと私が人を殺めるところを見たら、Aは幻滅してしまうのかもしれない。

生きて来た世界も、命の終わりにも雲泥の差がある私たちは、分かり合えない存在なのだ。




しかし、それでも「またちゃん」と私を呼んでくれるA。作った笑顔の中で時折見せる本物の笑った顔。

それを私に見せてくれたことのある彼女を、私は信じたい。




『私って、Aの友達なんスかね……』




零した私に、武市先輩は呆れを含めた溜息を吐く。そうして「バカですね」と鼻先であしらわれた。




『それではあんまりにも彼女が可哀想ですよ』
『あんなにも、貴女を大切に思っているのに』



『それを自分で否定するんですか』




じゃあ、とヒラリと着物の裾をはためかせては何処かへ歩いていってしまう。私は拳を強く握りしめ、手の平で頬を数回叩く。


「よし」と気合を入れてから、射撃の訓練場へ向かった。

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