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『あるよ』
『それはもうたくさん』
『……君が、想像つかないくらいに』
「この手で」と言うように神威さんは自身の手の平を見つめていた。ふっと自嘲気味に笑った彼は、私にニッコリという表現が当てはまる笑顔を見せる。
『怖い?』
『いいえ』
即答とも言える私の返しに、彼は驚くように目を丸くした。そうして「変だよ」と零す。
神威さんはそのまま私に手を伸ばして、彼のゴツゴツと骨張った手が私の首筋に当てがわれた。爪の先が喉に食い込み、チリチリとした小さな痛みを感じる。
『怯えなよ』
『無理ですよ』
『どうして? 俺はお前を殺そうとしてるのに』
『……だって、神威さんですもの』
そう言って首元にある神威さんの手を上から自分の手で包み、そっと掴んで首から引き離す。呆気なく彼の手は私から離れ、力なくぶら下がった。
私を呆然と見つめては、何を思ったのかいきなりクスクスと笑いだしてしまう。
『何を考えてるのか分からないけど……』
『君に人は殺せないよ』
『どうしてですか?』
『私だって、』
『じゃあ、今すぐにでも自分の命を捨てる覚悟はある?』
彼の瞳にあるラピスラズリのような宝石は、真っ直ぐ私にぶつかっていた。生半可な覚悟でいるなと言いたいのだろう。
しかし、私にだって覚悟はある。
『殺す人と殺される人
……その中には殺さない、殺せない人だっている』
『A。君は一番最後の人種だよ』
それ以上何も言わずに、神威さんは帰ってしまう。まるで私の覚悟は建前の偽物だと見抜いているような、目敏い一番最初の人種だった。
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まい - 999本の薔薇は「何度生まれ変わってもあなたを愛す」ですね。感動しました。 (2020年5月12日 20時) (レス) id: 7154107f34 (このIDを非表示/違反報告)
ユウ - 完結おめでとうございます。まさか、「おかえり、愛おしい人よ」シリーズと繋がっていたのだとは知りませんでした。そして感動し、鳥肌が立ちました。素晴らしい作品です! (2019年11月12日 18時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒奈(プロフ) - すごい感動しました!涙が止まらなかったです!本当におもしろくて、最高でした! (2019年2月9日 22時) (レス) id: 128bb1ac1a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(6/17)(プロフ) - モモさん» 閲覧とコメントをどうもありがとうございます^^ 沖田もいいキャラですけど高杉も捨てがたいですよね〜〜〜!! そう言ってもらえてとても嬉しいです!! ありがとうございました( ´ ∀`) (2018年4月27日 14時) (レス) id: 0297264441 (このIDを非表示/違反報告)
モモ - 今回の作品もとても面白かったです!思わず涙ぐんでしまいました(笑)サドリーマンも好きだけど、特に高杉さんの作品が大好きです!私もどちらかと言うと高杉好きなのでwとても素晴らしい作品をありがとうございました!!! (2018年3月18日 20時) (レス) id: a467930736 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年8月24日 11時