Never-ending blue【シリウス・ブラック】 (ページ2)

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青の面影ページ2

「あの......」

湖に脚を浸けてジェームズと水を掛け合っていると、後ろから控えめだが透き通った声が聞こえた。振り返ると、真夏の光に溶けてしまいそうな淡い女生徒の姿があった。胸元にはレイブンクローのタイが揺れている。流れてきたウェーブがかった横髪を耳に掛けると、女生徒は鞄からどうも見覚えのあるハンカチを取り出した。

「この前これを拾ったんですけど、"ブラック"の刺繍があって......友人が、貴方のものでは無いかと」

差し出されたハンカチは確かに自分のものだった。清潔な石鹸の香りが鼻を擽る。予め洗濯しておいてくれたらしい。何ともマメで真面目な性格の女生徒だ。レイブンクローらしいと言うか。シリウスが受け取ると、女生徒はずっと伏せていた顔を僅かに上げ、妙に懐かしい笑みを見せた。少し引き込まれていると、女生徒は影を落とすほど長い銀の睫毛を持ち上げ、では、と去っていった。その瞬間、シリウスは息を呑んだ。

「おや、シリウス。あの子にときめいてしまったのかい？」
「......違う。少し懐かしかっただけ」

もう自分を見据えることは無いと思っていた、あの青い瞳は、「ハンカチを落とした男子生徒」として再びシリウスに、微笑みかけた。

石鹸の香りが、風に運ばれていく。

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