義理の兄は医者でした3 (ページ7)

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病院に着いたらまず更衣室に向かって、ナース服に着替える。

最近は動きやすいとかの理由でほとんどの病院がパンツタイプを採用している。

もちろんこの病院も例外ではなく、白を基調とし襟やポケットのラインが紺色のパンツタイプ。

不思議だが、ナース服を着ると気合が入る。
それがどれだけ行きたくなかった研修だとしても、それに袖を通した瞬間身が引き締まる思いになるんだ。

「…よしっ」

小さくつぶやいてネームタグを首からかけた。

廊下で誰が最初の挨拶をするかジャンケンをしながらグループのみんなで歩く。

最初の挨拶とはどこの病院でも恒例であろう看護学生何名、よろしくお願いします、的なやつだ。地味にみんなやりたくないやつ。

私が研修で多分7番目ぐらいに恐れているもの。

前の研修ではじゃんけんに負け、挨拶をしたものの声が裏返り聞こえていなかったようで漏れなく全員にガン無視された。

じゃんけんぽんっ！という掛け声と共に願う気持ちでチョキを出す…

どうか…お願い…。

チョキ、グー、グー、グー……グー

あ…終わった。

他のみんなは、ラッキーとか言いながらウキウキと歩き出す。

…ねぇ、ほんとにみんないいの？私が挨拶してガン無視されることになってもいいの？

そんなことは本当に口に出せるわけもなく、涙を堪えて挨拶をするしかない…。

JM「A、変わろうか？」

ジミンが隣から耳打ちしたが、黙って首を振る。
使命感とかじゃなくてできれば直ぐに変わって欲しいんだけど、看護学校のモテ男、ジミンのファンはたくさんいる。この班の中にも誰か…いるかもしれないし。

できれば無駄な戦いは避けたい。

いつもは永遠に感じられるような長い廊下や階段も今日は一瞬に感じた。

もう直ぐナースステーションだ。

ゆっくり息をふーっと吐く。

隣からはジミンの心配そうな顔が見えた。
挨拶でこんなに心配させちゃうとは最近のジミンの心配性には磨きがかかっているよう。

みんなでナースステーションに足を踏み入れ、一列に並ぶ。

「…ぉはようございます。付属看護学校の学生…5名です。本日からご指導よろしくお願いします。」

するとジミンたちもお願いしますと言って頭を下げる。

隣ではジミンが肩を細かく震わせて笑っている。きっと私が人数を言う前に小さく指を折り曲げながら数えたのが見えたんだろう。

太ももをギュッとつまんでやると一瞬ビクッとして止まった。