義理の兄は医者でした3 (ページ16)

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朝の満員電車に揉まれながら最寄駅に着いた頃にはもうへとへとだった。

やっぱりいつもより体がだるい気がする。だるいだけで体調が悪いとかではないんだけど。
息を大きく吸おうとしてもここで限界だと言うように肺が酸素を取り込ませてくれない。

『ケホケホ…』

喉の違和感を取り払うような軽い咳を何度か繰り返す。

駅から病院は徒歩10分圏内となかなか良い立地だ。

JM「お、Aおはよ。髪染めたんだ。似合ってるね。初セルフカラーにしては上手じゃん。」

後ろから小走りで追いついてきたジミン。ちょっとバカにしたように笑うジミンこそ初セルフカラーに失敗して髪色がまだらになっていた張本人だ。

『テヒョン君がやってくれたからね。』

JM「どうりで…綺麗すぎると思った。」

小馬鹿にしたような顔のジミン。

『ちょっとそれってどういう…ケホッケホッ』

まるで私が不器用みたいな言い方をするじゃん…。言い返そうとしたところで空気が変なところにはいってむせた。

JM「ちょっと、大丈夫？」

『ｹﾞﾎｯｹﾎｯ…んっ…だいじょぶ…ｹﾎｺﾞﾎｺﾞﾎｯ』

生理的に涙が滲んでくる。
ジミンが私のカバンから水筒を取り出して蓋を開けてくれた。

『…っん…ふぅぅぅ…ｹﾎ…死ぬかと思った…』

JM「もう勘弁してよ。喋ってる途中にむせるなんて年じゃないの？」

背中を摩ってくれながらも呆れた顔のジミン。

『んー本当にねｹﾎｯ…。なんか今日喉の調子がおかしいんだよね。』

JM「おかしいってどんな感じに？」

『んーなんかわかんないけどｺﾎｯ、なんか違和感？っていうか。』

風邪の引き始めじゃないの？といいながら即座に私との距離を置いたジミン。

『そんなに離れることないじゃんか。バイ菌でもあるまいし。』

JM「ソーシャルディスタンスだよ。実習中に風邪ひいて再実習とか絶対やりたくないから。」

むむっ…
まあ事実実習をこれ以上休んだらもう一度やり直さなければいけないと言うラインはあって、再実習になるとさらに面倒なのは明らか。ジミンの気持ちもわかるけど。

私がむっとむくれていると、もう一度隣に戻ってきた。

JM「まあそれは冗談だけど。風邪の引き始めなら早く治しちゃいなよ。それと無理そうだったらさっさと休むことね。」

『はーい、』

また過保護が始まった。

JM「本当に分かってるんだろうね？」

ジミンに睨まれながら病院に入った。
さて、今日も実習がんばりますか。