241.物わかりのいい人。 ページ2
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「女……?」
「マジかよ……スッゲェ可愛い…。」
じっと私の顔を見つめてくる二人の青年に、顔を背ける。「何で向こう見るんだよ」と背けた顔の方へと回ってきた青年を睨み付けても、なぜか顔を赤くするだけで効果はなさそう。
「もう、いいだろう。偵察も終わった事だし、そろそろ戻った方がいいんじゃないか」
「わかってるけどさ、じゃこの女ここに置いて行くってのか?」
「仕方ないだろ。お前が面白いヤツ見つけたと追いかけるから、こんなことになったんだ」
「まぁまぁ、そう怒るなって!俺が終わったら麗にも譲ってやるから」
終わるとか譲るとか、何を言ってるんだろう。不安になった私は目の前の青年を見上げる。私に見つめられた青年はゴクリと喉を鳴らし、同じ目線まで腰を下ろすと頬に手を添え、顔を近づけてきた。
パンッ、と乾いた音。何が起きたのかわからない様子の青年は、赤くなった自分の頬に触れ、私を指差して大声で怒鳴った。
「いってェ…!何すんだ!!」
「何するんだって、それはこっちの台詞だから!いきなり触れてきて失礼でしょ!」
「あっそ。お前自分の立場わかってる?力ずくで押し倒してもいいんだけど」
「女だからと思って甘く見ないで!戦場では貴方のような人達を何人も相手にしてきたんだから!」
懐に隠しておいた小刀を取りだし、青年の喉元へと刀先を突きつけた。二人相手に私の方が不利だとは思う。逃げ出そうとしても転んだ拍子に足を挫いたのか、立ち上がるのも痛くて…。それでも言いなりにはなりたくない。
「お前が戦場に…その小せェ体で?その前に女が戦場に出るって、麗聞いたことあるか?」
「まぁ、何か理由があるんだろう。それより、お前どこの国の者だ?」
「……秦です」
「秦か…。翼、どうするんだ?女といってもこいつの身なりからして、上の者との繋がりがありそうだ。俺達が勝手な行動すれば、国同士が揉めることになるかもしれない。それに、内偵といっても正式なものではなく、お前の自己判断。バレたら大事に――」
「はいはい、わかりましたよ。コイツには手を出さない…それでいいんだろう?」
不機嫌そうに口を尖らせた翼と呼ばれた青年は、「何もしねェから…それ、しまえ」と私に命令した。
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S - 初コメ失礼します!キングダムにハマって昨日この小説を一から読んだんですがほんとに号泣で最高です!これからもがんばってください (3月31日 13時) (レス) @page50 id: 458c8fefa1 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 綿菓子さん» コメントありがとうございます。確かに、自分でも早いと思ってます笑。引き続き読んでいただけたら、嬉しいです。ありがとうございますね。 (2020年6月12日 19時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子 - 最近は更新スピードがとても速いので嬉しいです!唯一無二の花嫁。7も必ず読みます♪無理せず更新頑張ってください(^^) (2020年6月11日 19時) (レス) id: 80159fc2f2 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - 海さん» ありがとうございます。私も、読者様がこの作品を読んでくれることと、コメントをもらえることが原動力になってます。更新頑張ります! (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - ゆうあさん» はい、宜しくお願いします!こちらこそ読んでいただき、ありがとうございます。頑張りますね! (2020年6月8日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年12月30日 16時