135.翻弄されるのは貴方。1 ページ37
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桓騎将軍(そう呼べと言われ)に翻弄してみろと言われてから数日。全く打つ手がなく、ただ日々を過ごしていた。
ここにいる大半の人間は皆元野盗上がりだと聞かされた時は、どうしようかと、むしろ無事に帰れるのかと不安だったけど。粗暴で口調は荒いが、接してみれば意外と優しくて。桓騎将軍の副官方との交流は順調なのに、肝心の本人とは……なんの進展もない。
進展があったらあったで困るんだけど。
「なぁなぁ、オギコの弓どうだっ?」
「いいんじゃないかな…。」
どこに行くにも桓騎軍の変わり者のオギコと言う男性が付いて来た。話し方が幼い子供のようで、独特の髪型に鼻輪。これでも千人将と聞かされた時は、失礼にも何で?と思ってしまった。
悪い人ではないと思う。
悪い人ではないけど…。
「こう弓がピョーンと…あれ、どこに飛んでった?」
「知らない…。」
「A〜オギコの弓探しに行こう!ほら、早く早くっ!」
「痛い痛い、引っ張らないで下さいっ!」
腕を掴まれた私は抗う事も出来ずにズルズルと引っ張られ、目の前に広がる森に連れ込まれそう。オギコさんと二人で森なんかに入ったら……間違いなく生きては帰って来れない。
それだけは絶対に嫌だ。
「と、止まってっ!」
「なんで?どうして?」
「どうしても!」
「オギコ、Aを離してやれ」
「お頭っ!!」
桓騎将軍の言葉に、オギコさんはパッと手を離した。
助かった…。
「オギコ、随分とこの女が気に入ったみたいだな」
「お頭っ、Aスゲーいい匂いする」
「匂い…?」
じっと私を見つめる桓騎将軍はどんな匂いだとオギコさんに尋ねた。
尋ねられたオギコさんは何を思ったのか、私の首もとに顔を近づけてクンクンと匂いをかぎだす。
「ちょ、くすぐったい…っ」
身をよじる私の視界にチラッと見た桓騎将軍の表情は眉間に皺を寄せて不機嫌そう。
「……オギコ、Aを離せ」
「でもっ、どんな匂いか」
「俺が離せと言ってる。二度も同じ事を言わせんじゃねェよ」
桓騎将軍の凄みのある声と目付きにオギコさんの体がビクッと震え、慌てて私の体から離れた。
ホッとしたのもつかの間。
「ガキのお前には刺激が強いモノ、見せてやるからついて来い」と指示されたのは、桓騎将軍のテント。
意味深な言葉を理解するのは、この後だった。
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bluemoon(プロフ) - うーちゃんさん» 今晩は。只今編集作業をしている最中で、終わり次第パスワードを外させて頂きます。ご迷惑をおかけ致しますがお待ち頂けますようお願い致します。メッセージありがとうございますね。 (2022年6月15日 20時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
うーちゃん(プロフ) - こんにちは☺︎ 4から見たいのですがパスワードがかかっており見れません(>_<) 教えていただけませんか?すごく面白くて一気読みしてしまいました! (2022年6月15日 6時) (レス) id: ff65ffef2e (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - おはようございます。体調だいぶ良くなりました。お気遣いありがとうございます。書きたい衝動になっているので、自分のペースで更新していきたいと思います。コメントありがとうございました(*^^*) (2019年8月17日 10時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
Mimina(プロフ) - こんばんわ!体調大丈夫ですか?心配です。元気なったらまた素敵なお話楽しみにしています!ゆっくり休んでくださいね! (2019年8月17日 0時) (レス) id: 4c3be01646 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - Miminaさん» 返信遅くなってごめんなさい。ちょっと体調を崩してしまって、申し訳ありません。何回も読んでいただいてありがとうございます!更新頑張らないとですね。ありがとうございました。 (2019年7月31日 5時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2019年6月9日 7時