48.勧誘 ページ3
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「継子に興味あるの?」
『なんとなく気になっただけで。柱の方々に稽古をつけてもらえるなら、今よりも強くなれるかなと思いまして』
日の光の入らない薄暗い部屋。私の太腿に頭を乗せて寝ている累の髪を撫でている様子を、食事係の時透さんがボウッと見ていた。
実を言うと、時透さんと会うのは気まずい。数日前に累に私の血を分け与えている光景を目撃した時透さんは、刀を引き抜き累の首元に剣先を突きつけた。一触即発状態、後で説明したら納得してはくれたんだけど…。
「強くなる理由は…弟のため?」
『それもあります。幼なじみの善逸も、それに私に関わる人達は助けたいと思ってるんです』
「……皆を助けるのは不可能。誰かを犠牲にしなきゃいけない局面は…必ずやって来る…」
空になったお椀を片付けようとした時透さんに、『でも、強くなりたいんです!』と詰め寄れば、虚な眼差しの時透さんの目が大きく見開いた。
「…っ、近づいて来られると、」
『え…、あ、すいません…!』
「別に…気にしてないから…」
気にしてないなら顔を背けたりしないで、こっちまで思い出してしまう。
確かにあの時は不可抗力だったにしても、はだけた衣服からまともに時透さんは私の胸を見てしまった。いつもぼんやりしてるからきっと忘れてくれるだろうと…そんな私の願いも虚しく、時透さんはしっかり覚えていて。
「ん…、姉さん…」
『ごめん累、起こしちゃった?』
「寝てる時も姉さんの夢見てた。姉さん…いつもみたいに僕のこと好きって言って…」
『いつもみたいにって、』
そんなに好きって言ってたかなぁ…と考えてる私の首元に累は手を回し、自分の元へと引き寄せる。チラッと横目で時透さんを確認した累は、構わず綺麗な顔を私へと近づけた。
「牽制のつもりならやめろ。鬼であるお前に、Aは幸せにできない」
「うるさいな…用がないなら消えてくれる?僕と姉さんのことに、他人が首を突っ込むな」
「……継子の件、僕が面倒見てあげてもいいけど…」
『時透さんが…?どうして急に、』
「理由なんてどうでもいい…僕の気が変わらないうちに、返事教えて」
部屋を出て行ってしまった時透さんに
「僕の姉さんだ…」
甘えるように私の胸元に累は顔を埋めた。
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三月の専属ストーカーなつめみく - うあああああいいるいくん救済!!救済だあああ!!やったあああああ!ここのコメント欄の空気ぶち壊していくうううう!!てか面白すぎいいいい!もうね!設定が!神なんよ! (10月24日 9時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - ありがとう〜♪続き待ってるね♪(*⁰▿⁰*) (2022年1月2日 18時) (レス) id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
bluemoon(プロフ) - アオイさん» アオイさんは多才な才能をお持ちなんですね。絵も描かれ、ピアノまで弾けるなんて羨ましいです。累君のテーマ曲、今度聴いてみたいと思います。更新の準備致しますね。千寿郎君と煉獄さんのお話からになりそうです。その様子に累君ヤンデレ化しないといいですけど(笑) (2022年1月2日 0時) (レス) id: 4f57fd01cd (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - まぁ、私の話は置いといt((無一「更新頑張ってね」 (2021年12月31日 23時) (レス) id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
アオイ - 累君は、ヤンデレも似合うしツンデレでも似合うなぁ〜って思うと、私 顔が真っ赤っかになるですwww.自分で描いた累君を見ると『可愛い///付き合いたい///エンジェルですか⁉あなた⁉』ってよく言ってて 累のテーマの曲をピアノで弾くとギャン泣きにいつもなってる (2021年12月31日 23時) (レス) @page10 id: c4dfd681b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bluemoon | 作成日時:2021年9月28日 20時