番外編��-3- ページ32
鈴を転がしたような高くて柔らかい声で、女性が左馬刻さんを呼び止めた。
左馬刻さんはぴくりと肩を跳ねさせ、立ち止まってしまった。
つかの間、路地裏を静寂が支配した。
それを打ち破ったのは、自分でも意外だったが、私自身の震える声だった。
「左馬刻さん、…………ごめんなさい」
言うが早いか、私は2人に背を向けて一目散に駆け出した。
A、と呼び止める愛しい人の声が聞こえたが、止まれるはずがなかった。
一刻も早く、この場を離れたかった。
ヒュ、ヒュッ、と短い息が口から漏れた。
涙がぼろぼろと溢れて来て、通行人にジロジロと見られるのも構わず、慣れないヒールを鳴らして無我夢中で走り続けた。
ごめんなさい、左馬刻さん、ごめんなさい＿＿＿＿＿。
私は勝手にやれ運命だ、やれ奇跡だと勘違いして、あなたを縛り続けてしまったみたいです。
やっぱり私なんかが、あなたと釣り合うはずがなかったのに。
さっき一緒にいた女性みたいな綺麗な人が、誰よりも素敵でかっこいいあなたに似合っていることは分かっていた、それでも目を背けたかった。
あなたのことを離したくなかったから＿＿＿。
左馬刻さんに対する怒りは、微塵もなかった。
ただ、後悔と、自責と、絶望だけが、私の全てを支配していた。
走って走って、遂に足が動かなくなってしまった。
ゼーハー、と荒い呼吸を繰り返しながら、近くにあったベンチにフラフラと近寄って体を預けた。
明日から私はどうすればいい、どうやって生きていけばいい？
あなたしかいらないと本気で思っていた、なのにあなたを失ってしまったら、私は、私は……………！！！
「あ、う"ぅ…………ッ！！！あ、あ"あ〜〜ッ！！！」
せり上がる悲痛な思いに耐えきれず、ヨコハマの街中で、みっともなく泣き喚いてしまった。
左馬刻さんに再び出会えたあの日から、一度も泣いていなかったのに。
私の泣き虫は、どれだけ長い月日が経っても変わらないようだった。
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鈴 - 夢主ちゃん、幸せになって良かったぁあああ！！！！！もう、すっごい感動しました！泣きました！ありがとう、感動をありがとうございます！！！(うるさくてすいません) (2020年7月14日 21時) (
レス) id: 7ac441a921 (このIDを非表示/違反報告)
まー - 完結おめでとうございます！めっちゃくちゃ感動しました！自分の妄想でこんな感じの話を作ってたので私の心にぶっ刺さりました笑笑左馬刻様マジでかっこいい(*≧∀≦*)ほんとにほんとにこの話読んでて泣きそうになりました。私もこんな感じの人とこんな恋がしたいな、、 (2019年11月20日 16時) (レス) id: 0db8fc4dba (このIDを非表示/違反報告)
帝光(プロフ) - 改めて完結おめでとうございます！！！！！この作品で私は事あるごとに涙を流す変な奴になってしまいました。見事にゴールインして嬉しかったです！お兄ちゃんも出てきたし！次の作品、楽しみにしています！受験、頑張ってください！ (2019年7月24日 10時) (レス) id: f744c6fe41 (このIDを非表示/違反報告)
夏柯 - 完結おめでとうございます！本編で泣き、番外編でも泣き……感動しまくってました！プロポーズがロマンチックすぎて……！本当に良かったです！更新お疲れ様でした！ (2019年7月13日 16時) (レス) id: d7e54bb1e1 (このIDを非表示/違反報告)
世理(プロフ) - 本当の完結おめでとうございます！もう...めっちゃ好きです！新作出たらすぐに飛んできますので!!!楽しみにしてます!お疲れ様でした! (2019年7月11日 20時) (レス) id: 5d3e2d5767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：矢野いと | 作成日時：2019年5月24日 18時
