4日目-12- ページ39
「なっ……にをしてんだ、テメェはよぉ!!」
一郎くんは左馬刻さんが振り上げた拳をかわすと、私の体を軽く押して、左馬刻さんの腕に収めさせた。
そして、
「じゃ、俺、弟と来てるんで。
またな、Aさん!」
良い笑顔を浮かべて手を振ると、人混みに紛れて去っていった。
「くッそ、なんなんだあのゴミカス野郎…!」
歯を剥き出しにして怒っていた左馬刻さんは、急にくるっと向き直り、私の肩を掴んだ。
「アイツ、なんて言ったんだよ」
「え?あ、えっと……
………ナイショ、です!」
「は!?」
呆然とする左馬刻さんの腕を引いて、私は反対側の手で空を指さした。
「それより、花火見ませんか?すっごく綺麗ですよ!」
___…一郎くんに言われたことを教えたら、左馬刻さんはまた怒ってしまうかもしれない。
だからこれは、秘密にしていたい、と思った。
「それより、ってなぁ……!」
左馬刻さんは何か言いたげだったが、やがてハァーッと溜息をついて、ガシガシと後頭部を掻いた。
「…キレたら腹減ったから、先に飯食うぞ」
「はい!
……あれ、でも、さっき左馬刻さん食べ物買いに行ってたんじゃ……?」
「___どっかに落とした!」
「えええ………」
私たちは、しっかりと手を繋いで歩き出した。
まだ終わる気配のない花火の光が、私たちを明るく照らしていた。
「____俺、Aさんが好きです。出会ったあの日から、ずっと。
でも、左馬刻がこんなに女に惚れ込んでるところ、初めて見たんで、今日は引いときます。
…………愛されてますね、Aさん」
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矢野いと(プロフ) - 百面相さん» こちらこそコメントして頂きありがとうございます。とても力になります!完結まであと少し、お付き合い頂けると嬉しいです。よろしくお願いします! (2019年5月20日 17時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - ストーリー物で唯一楽しみにしている作品です!ニヤニヤしながら見させて頂いています…。素晴らしい作品を有難うございます! (2019年5月18日 22時) (レス) id: 5fbb166415 (このIDを非表示/違反報告)
矢野いと(プロフ) - ぱぴぷぺっぽー!さん» そう言ってもらえると嬉しいです。頑張ります! (2019年4月28日 9時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴぷぺっぽー! - おぁぁぁあ!!!!!凄い好み!この小説!!!更新頑張ってぇぇ!! (2019年4月24日 19時) (レス) id: 73667381e3 (このIDを非表示/違反報告)
矢野いと(プロフ) - すずさん» ありがとうございます!励みになります(^-^) (2019年4月20日 19時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:矢野いと | 作成日時:2019年4月9日 12時