3日目-10- ページ27
子供のような嗚咽が漏れる。
1度決壊した涙腺は、中々元に戻ってはくれない。
「__また泣いてんのか。
…泣き虫だな、Aは」
優しい声が、体中に染み込んでゆく。
「ごめん、なさっ…」
「謝るなよ」
体を少し離した左馬刻さんは、私の涙をゆっくり拭ってくれた。
「怒ってねぇよ。
ただ、嫉妬してたんだ。みっともねぇよな」
「そんな、こと、ないっ……!」
でも、と前置いた左馬刻さんは、少し怖い顔で私を見つめる。
「誰なんだよ、アイツ」
"アイツ"というのは、きっと左馬刻さんが私の彼氏かなにかと勘違いしたお兄ちゃんのことで、私は思わず口ごもった。
だが、左馬刻さんは引き下がってくれない。
「…俺にだって、知る権利ぐらいあるよな?」
真っ直ぐ見つめられ、私は観念して口を開いた。
「あれ、は______……
………お兄ちゃん、です」
静寂。
「は………?」
左馬刻さんは、明らかに動揺している。
私はもう一度、はっきり伝えた。
「お兄ちゃんです。
一昨日話した、近くに住んでるお兄ちゃん……」
「はっ…、はあああああああああ!???」
静かな夜空に、左馬刻さんの渾身の叫び声が吸い込まれていった。
私は思わず、盛大に吹き出してしまった。
明日も良い日になりそう______
そんな事を、頭の隅で考えながら。
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矢野いと(プロフ) - 百面相さん» こちらこそコメントして頂きありがとうございます。とても力になります!完結まであと少し、お付き合い頂けると嬉しいです。よろしくお願いします! (2019年5月20日 17時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - ストーリー物で唯一楽しみにしている作品です!ニヤニヤしながら見させて頂いています…。素晴らしい作品を有難うございます! (2019年5月18日 22時) (レス) id: 5fbb166415 (このIDを非表示/違反報告)
矢野いと(プロフ) - ぱぴぷぺっぽー!さん» そう言ってもらえると嬉しいです。頑張ります! (2019年4月28日 9時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴぷぺっぽー! - おぁぁぁあ!!!!!凄い好み!この小説!!!更新頑張ってぇぇ!! (2019年4月24日 19時) (レス) id: 73667381e3 (このIDを非表示/違反報告)
矢野いと(プロフ) - すずさん» ありがとうございます!励みになります(^-^) (2019年4月20日 19時) (レス) id: 44c4b06050 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:矢野いと | 作成日時:2019年4月9日 12時