雪は雲とともに【3】 (ページ33)

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第93話ページ33

嬉しそうに山本くんを迎え打つロン毛さん。以前見切った技だから対処法もわかっているのだろう。しかし、

《時雨蒼燕流攻式八の型篠突く雨》

『な、にぃ』

山本くんの攻撃はロン毛さんに確実に当たったのだった。

『貴様！時雨蒼燕流以外の流派を使えるのかぁ!?』

水面から血を吐きながら起き上がるロン毛さんは一種のホラーのようだった。

『いんや。今の“も”時雨蒼燕流だぜ。八の型篠突く雨は、

―――オヤジが作った型だ』

山本くんの刀の師匠は山本くんの父親だったのか。たしか、昔剣道をしてたとかで個人の道場を持っていたはずだし、納得かも。

ん？なんでそんなの知ってるのかって？並盛の街やそこに住んでる人たちのことはだいたい把握してるんだ。生徒会長だからね！

ちなみに。恭弥は住所を聞けば、そこの住人答えられるけどね。ある意味、並盛愛が強いとも言える。

閑話休題

それにしても、時雨蒼燕流って恐ろしい流派だよねー。だって、原初なんて1つしかなくて他はねずみ算式に増えてくなんて普通ならあり得ないでしょ。

今まで滅ばなかったのが不思議だよねー。それなのに、わざと最強を謳いロン毛さんみたいな強者を引き寄せるなんて、じさつ願望のある流派だと思うね、僕は。

『う゛お゛ぉい!!ガキ、正直ここまでやるとは思ってなかったぞ。

だからこそ、その峰打ちは解せねぇ。真剣勝負をナメながって』

ロン毛さんに1票。まだ中学生とはいえ、これは殺し合いだ。それなのに、未だ相手に刃を向けないとは。戦場なら真っ先に死んでるよ。

『んじゃ、いってみっか。

―――時雨蒼燕流九の型』

九の型って、山本くんそれ野球の構えではなくて？

それで新しい技作れるの？

『あいにく野球(こいつ)しかとりえがないんでね』

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