雪は雲とともに【3】 (ページ27)

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第87話ページ27

「それを受け取って、何か僕に害が及ぶことは？」

『……これはこれは。いやはや参ったな』

「絶対に受け取らない」

『ぅわー！大丈夫だよ、今より少し身体が弱くなるだけなのだよ!!』

「なおさら受けとるか！」

え、馬鹿なの？どこぞの科学馬鹿と同じで馬鹿なの？

そんな自分に害が及ぶもの、誰が欲しがるんだよ。

『じ、じゃあ。……特別大サービスで、君の持つリング。それになる以前の能力をこのおしゃぶりにも付けようじゃないか！』

「………それはエレニウム九六式のことか？」

『エレ？……以前、君がなんたら宝珠と呼んでいたものだよ』

なんと!?それならば考えてやってもいいな。今よりどの程度弱くなるかは分からんが、演算宝珠が手に入るのであればさほど問題はあるまい。

ネーヴェのせいでリングになってしまった演算宝珠は魔力の消費量に対して性能が悪すぎて使いモノにならなかったからな。

と、白いおしゃぶり受理を決定。

「……ただし、僕がこれを持っていることが他人に気付かれないようにしたい」

なんか晴戦の時、ハイスペックベイビーたちのおしゃぶり光ってたんだよねー。1つだと何もないのに、2つ集まったら光る？みたいな？

だからもしその仮説が正しければ、ハイスペックベイビーに会うたびおしゃぶりが光るということになる。そうなると、僕もおしゃぶりを持っていることがバレる。つまり、面倒事に巻き込まれる。

絶対イヤだ。だから、対策が欲しい。とおじさんに伝えた。

『それなら、こうしよう』

いつかのネーヴェよろしくおしゃぶりを両の掌で包んだおじさん。開いた時には、おしゃぶりは演算宝珠の姿になっていた。形が変わっただけで、おしゃぶりの能力は損なわれていないらしい。

だが、これでおしゃぶり同士の共鳴？は起こらのだとか。聞いてみるものだな。

『雪はアルコバレーノの中でも、特別なのだよ！中でも君の炎は別段に特殊だからね』

最後に訳のわからないことを言って消えたおじさん。何かを企んでいるようにも見えたが、やっと訪れた静けさに僕は微睡み始めたのだった。

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