雪は雲とともに【3】 (ページ22)

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第82話ページ22

『時間もねーのかよ!?』

焦る獄寺くんが入ったのは図書室。なるほどね、図書室は出入口は1つしかないから、狙いは絞りやすい。

けど、前髪さんの狙いも似たようなモノなんだから。早く気づかいと手遅れになるよ。

『反撃開始ぃ～っ』

あーあ。一見デタラメのような前髪さんの攻撃には、ちゃんと意味があるんだよ。

画像解析した僕の見てるモニターには、もうすぐで完成してしまう“ソレ”が映っていた。

『でっきあがり～！』

『!?』

動きの止まった獄寺くんの周りには、張り巡らされた鋭利なワイヤーたち。これだと身動きとれないね。

けれど、獄寺くんの顔はまだ諦めていないようにも見える。………まさか、気付いて？

『しししっ。おっしまーい!!』

『お前がな……』

そう言って火の着いたライターを落とす。そこには、溢れた火薬が導火線のように、広がっていた。………おいおい。

―――ドガガっ！

『たわんだ糸じゃ、切れねーぜ』

爆発により本棚が倒れ、張り巡らされていたワイヤーも無効果した獄寺氏。……うん、予想してたよ。図書室の分の請求は獄寺くんと前髪さんに折衷してもらおう。

『これでダメ押しだぜ!!』

前髪さんのワイヤーを逆に利用してダイナマイトを放つ獄寺くん。

さしもの前髪さんも無事ではなかったみたいで、気を失っていた。

勝利条件として、リングを完成させなければならないらしく、時間もない中獄寺くんはフラフラの状態で前髪さんのリングを手に取る。

その時、気を失ってるはずの前髪さんが逆に獄寺くんのリングを掴んだ。………殴られても決してリングを離さない前髪さんはもはや執念の塊。

無情にもハリケーンタービンの爆発は始まり、時間も無い。が、獄寺くんは何がなんでもリングを持ち帰る、と捨て身状態。

やはり貴様はただの忠犬止まりだね、獄寺くん。

『ふざけるな!!』

ほら、飼い主からのお説教だよ。

『何のために戦ってると思っるんだよ!!皆でまた雪合戦するんだ！花火見るんだ！だから戦うんだ！

――また皆で笑いたいのに、君が死んだら意味が無いじゃないか!!』

これはちょっと、僕にも刺さる言葉だったよー。沢田くん。

しかし、時すでに遅く、図書室のハリケーンタービンが爆発してしまった。

―――ドガァンっ！

『獄寺君!?』

『獄寺!!』

『タコヘッド!!』

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