雪は雲とともに【3】 (ページ21)

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第81話ページ21

次々と発動するハリケーンタービンに翻弄されていた獄寺くんに対し、前髪さんのナイフはピンポイントで獄寺くんに当たっている。

『王子にまぐれとかないから。気流の流れを読んで目標ライン上にそっとナイフを添える』

前髪さん言うように、ナイフは気流を巡って獄寺くんの頬を掠めた。

面白い攻撃方法だなー、と沢田くんたちが見てるモニターとは別回線にて、画像解析。全然ズルくナイヨー。

見えた答えになるほど、あの時か。と納得。ドヤ顔してるけど、タネと仕掛けさえ分かればこっちのもん。

問題は、獄寺くんがこの仕掛けに気付くか、だよねー。普段はただの忠犬だけど、成績だけは優秀だから。成績だけは。うん。

『うしし。もう大当たり？嵐の守護者がこれじゃあ、お前のボスも知れてんな』

『！！』

おやおや。獄寺くんの顔付きが変わったよ。さすが忠犬。

そして、気付いたみたいだね。前髪さんの仕掛けに。

『怒濤の攻めのシメは、針千本のサボテンにしてやるよ、

――バイバイ』

無数のナイフ気流に添って流れたあと、ドスドスと刺さる。

『ごっ、獄寺君!!』

沢田くんが叫ぶが、まあ、よく見てみなよ。

ガラスを割って倒れてきたのは、獄寺くんではなく頭にワイヤーを巻かれた人体模型だった。

『これが、てめーの技の正体だ』

キメ顔の獄寺くんが反撃に出た。てか、獄寺くんの家庭教師ってあの変態養護教諭だったんだね。意外。

『果てろ!!』

お約束の台詞と共に投げたダイナマイトはハリケーンタービンを避けるように、2度方向転換をして前髪さんに当たった。

君はただの忠犬を卒業して出来る忠犬になったらしいねー、獄寺くん。これからの成長にも期待するよ。

さて、前髪さんはどうなったのか。……なんか、ヤバそーな人に見えるんだけど。

『流しちゃったよ、王族の血を～!!

はぁあ、ドクドクが止まんないよぉ』

自分の血に興奮するとか、変態だろ。引くわー。

え？自分じゃなくてお兄さんの姿？ただのブラコンじゃん。

んん。僕のおふざけはさておき。

明らかに前髪さんの動きがさっきとまったく違う。無駄な行動はせずに、まっすぐ獄寺くんを殺しに向かう。

が、不思議な現象が起きた。ナイフに当たってないのに獄寺くんが切れるという現象。ふむ。

もう一度画像解析しようした時に、残り6分でハリケーンタービン爆発のお知らせが。

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