雪は雲とともに【3】 (ページ12)

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第72話ページ12

まったく眠れた気のしない僕の気分は最悪。とにかく、溜まった書類をひたすら片付けながら考える。

ナッポーの件とネーヴェの件。

「……………はぁ」

ま。ネーヴェは置いておいて、先にクロームとやらの様子を見に行くか。

生活力皆無の2人のことも気になるし。

そして、夕方。

メモの所在は黒曜ヘルシーランドだった。

「………ごめんくださーい」

建物に入る時に、一応礼儀として声をあげれば動く3つの気配。

両手に下げたエコバッグが揺れるのをBGMに気配を辿り、歩く。

着いたのはいつぞやのシアタールーム。

「お前、何者だびょん!?」

「おっ、と」

飛び出してきたのは、金髪くん。その後ろに帽子くんと黒曜中の制服を着た女の子。

「………君が、クローム？」

「え？」

「六道くんから、クロームって子の様子を見るように頼まれていてね」

ここに来たんだ、とエコバッグを見せるととたんに警戒心を緩める金髪くんと帽子くん。

どんだけ飢えてるの。

「貴女が、骸様の言っていた……？」

「ｸｸｯ。ナッポーを様付け、か。まあいいだろう。六道くんは君が栄養失調で倒れないか心配らしい」

腕は保証しないが、人並みには料理できるからね。厨房を借りたいのだが、その前に。

「まずは掃除から、だよな」

「なんでびょん!?いつもこんなだから気にしなくていいびょん!!」

「……めんどう」

「犬、千種。………あ、の」

ぴょんぴょん跳ねる金髪と眼鏡を押し上げる帽子くん。ナッポーの言う通り彼らは生活力皆無のようだ。

よく今まで生きていたね。逆に関心するよ。

「僕は無能に無償で恵んでやるほど優しくないのでね。………こんな汚部屋に居たくもないし。ここを掃除しないなら貴様らは飯抜きだ！」

「途中に本音が駄々漏れだびょん……」

「………早く済まそう」

まだ常識がありそうな帽子くんにお金を渡し、必要な掃除道具を買ってきて貰う。

その間に金髪くんとクロームには不要物の仕分けや一応部屋として見れる家具の調達を頼んだ。

僕はなにしてるかって？ﾌﾌﾌ。汚なすぎる厨房を片付けているのさ。

流しにはカップ麺のゴミが散乱し、食器も黒済んでおり使い物にならない。冷蔵庫は出来れば開けたくなかったが仕方なく処理。

そうして、終了したのは夜10時頃。

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