第32話 ページ4
珍しく仕事もなく、自室で久しぶりの読書を楽しんでいた時だった。
ーーprrrr,prrrr
oh、大魔王様からのお電話である。
これは出るべきか、否か。もし出れば本日のお休みは無くなる。だがしかし。出なければ出ないで、容赦なく咬みころされる。
ちくしょう。諦めて携帯に手を伸ばすと、
「ねぇ、5コール以内に出てって言ったよね？」
「…………せめて、ドアから入ってください」
日本人なら日本人らしく、玄関を利用してくれ。なんで窓から来るんだよ。
「行くよ」
「どこに！そして靴！靴くらいはかせて！」
突然現れた恭弥は僕を抱えたまま窓から出る。100歩譲って部屋着なのはいいだろう。短パンTシャツにパーカーだし。コンビニくらいなら行ける格好である。
しかし、靴くらいはかせてくれてもいいじゃないか！
「そんなの、必要ないでしょ」
だって、僕が抱えるんだから。と宣う大魔王様。ほんとなんなの、この人。
数年一緒にいるけど、恭弥の生態は未だに解明されていない。謎のままである。別にいいけどさ。
さて。バイクに乗せられやって来たのは、見覚えのある赤い屋根の一軒家。沢田宅である。
なに、恭弥、沢田くんに用事でもあるの？もしそうなら明日はきっと槍が降るよ。
理解が追いつかないまま抱えられ、沢田宅の2階部分まで跳躍する。君の脚力、どうなってんの？
「やあ」
「ヒ、ヒバリさんっ！と会長ぉ!!!?」
「お邪魔しまーす」
沢田くんの他には獄寺くん、山本くん、あと緑中の制服を着たポニーテールの女の子がいた。
「やるじゃないか。心臓を一発だ」
恭弥が足蹴にしているのは、血塗れのおっさん。なんか違和感。
「うん、この死体は僕が処理してもいいよ」
君は何時から掃除屋になったんだい？恭弥くん。てか、僕はなんの為に連れて来られたの？
「あとで、風紀委員の人間よこすよ」
「委員会で揉み消してんのー!?」
再度抱えられて窓から退出。直後ダイナマイトが降ってきたきたが、何事もなく恭弥が跳ね返した。
沢田くんの部屋で爆発したが、彼らのことだ。無事であろう。
てか、僕来る必要あった？………やっぱり恭弥は謎である。
(全然驚かなかったね)
(だって、死んでないでしょアレ)
(ワオ、気付いてたのかい？)
(元軍人舐めんな)
ただ会長を驚かせたかった風紀委員長なのであった。
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作者名：蒼 | 作成日時：2018年1月22日 16時
